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第十九話

 ラザフォードに頭を下げて頼み込んだノクト。


「やっぱり聖騎士の言ってた通りだ。嘘でも他の勇者が全員勇者の力を使いこなせると言えばノクトは勇者の誰であろうと力の使い方を教えてもらうのに頭を下げて頼み込むとは見上げた向上心だ」

「え?嘘なんですか⁉」


「三割は嘘だ」

「七割は本当なんですね」


「勇者シルフィーと勇者ファルコは勇者の力を第一開放状態までしか使いこなせていない」

「ラザフォードさんの話を聞く限りその第一開放状態より上の状態があるんですか?」


「そうなんだが、まだ第一開放状態を使いこなせていないお前に話しても今は実感が湧かないだろう。それは第一開放状態を使いこなしてからだ」

「そうですね。ていうか、どうしてレイノスさんが話に入ってきたんですか?」


 ノクトはラザフォードが付いた本当多めの嘘の中で出てきた師匠の名前に疑問を持ちラザフォードに尋ねた。


「聖騎士直々に頼まれた事だ。現在の勇者の中で唯一勇者の紋章の力を使いこなす俺にノクトへ勇者の力の使い方を教えてほしいと頼まれた」

「レイノスさんが⁉」


「そうだ。聖騎士は自分では勇者の力の使い方まで教えられないから先日勇者と上級騎士達が王宮で緊急招集される前日だ。俺に聖騎士が頭を下げて嘆願した」

「そんな話一度も聞いてない」


 不器用ながら弟子であり勇者であるノクトをレイノスなりに考えての事だろう。

 ラザフォードの話を聞いてまた一つ疑問が浮かぶ。


「もしかして俺とラザフォードさんが一組になる事も力の使い方を教えるために?」

「それは副産物的な結果だ。俺は勇者四人の能力を考えたうえで最善の二組を考えただけだ」


 ラザフォードはあくまで勇者四人が最善の二組に分かれる事を考えていた。それでも勇者の力を使いこなせるラザフォードから有y佐野力の使い方を教えてもらえるなら願ったり叶ったりだ。


「それで、俺に勇者の力の使い方を教えてくれますか?」

「もちろん。勇者が強くなる事は悪魔達との戦闘でより有利に戦う事ができる」

「ありがとうございます‼」


 ノクトの頼みごとに了承するラザフォードにノクトは再び頭を下げてお礼を言う。


「それじゃあ休憩は終わりだ。勇者の力の詳しい説明は歩きながらでもできる」

「分かりました」


 ラザフォードが休憩終了を告げると二人は木陰から立ち上がり再び南西へ続く道を進む。


「ノクトにはそれぞれ紋章ごとに共通する力を説明しただろ。これは勇者の紋章の第一開放状態の力の一つだ。第一開放状態には共通する力とは別に紋章のヵ所ごとに固有の力がもう一つある」

「固有の力ですか?」


「そうだ。さっきも言ったが目に紋章がある奴に共通する勇者の力は動体視力の急激な向上だ。だがそれとは別に左目固有の力もある。左目固有の力は魔力や神聖力の流れや種類を見る事ができる。右目にも何か見通すような力があると思うんだが」

「それなら心当たりがあります。右目だけ見えなかった魔法陣が見えるんです」


 レイノスとの修業でも対魔術師との戦闘を想定した手合わせでもレイノスが不可視化した魔法陣を右目だけが見通すことができた事がある、魔王の魔力が保管された祠に展開された不可視化された立体魔法陣も右目だけ見る事ができた。


「なら右目の第一開放状態の力は使えるんだな」

「けど左手の勇者の力は使った記憶がありません」


 ノクトは左手を見ながら少し表情が曇った。


「だったら次に休憩する場所で勇者の力を使いこなすための稽古をするか?」

「いいんですか⁉」


「いいんだよ。それにこれは聖騎士から頼まれた事だ。引き受けたからにはノクトが力を使いこなせるよう稽古つけてやるさ」

「ありがとうございます!」


 ノクトとラザフォードは一向に続く一本道を歩きながら稽古の話を始めた。


「まずは右目の紋章の力を使いこなした後に左手の紋章の力の稽古を付けよう。その方が左手の紋章の力を使う感覚も覚えやすいだろう」

「分かりました。それで聞きたいことがあるんですが手に紋章がある勇者の共通する力が聖剣術の急激な強化なのはわかりました。それで第一顔豊穣体の右手の固有の力はどんなものなんですか?」


 ファルコの名前を言いたくないノクトはあえてファルコの名前を伏せてラザフォード右手の力について聞いた。


「聞いた話では手に紋章がある勇者に共通する聖剣術の急激な強化の他に聖剣術による攻撃範囲を極限まで制御できるらしい」

「それってすごいんですか?」

「あぁ。悪魔側の女が俺の聖剣うつを防ぎ切った外套を勇者ファルコの極限まで範囲を圧縮した聖剣術は外套を貫いた。聖剣術による攻撃力だけなら俺より強い」


 勇者四人の中で一番勇者として歴の長いラザフォードがファルコに劣る部分を話したことにノクトは少し驚いた。


「ノクトにも左手に紋章があるんだろ?何か近い力があるんじゃないか?」

「そうなんですかね」


 ノクトは自分の左手を見て未だに使った覚えのない左手の力は何か考えた。

 考え事をしながら歩いているとノクトと共に歩いていたラザフォードは看板を見つけた。


「あと一時間くらい歩けば村に出るようだ。そこで旅の身支度を再度付けるぞ」

「そうですね。今回の任務は長旅になるからできるだけ道具は揃えた方がいいですね」


 村で身支度を整えることを決めた二人はこの先の村へ向かった。

お疲れ様です。

今回も読んできただき誠にありがとうございます。

今回二話連続投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。

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