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第十八話

 王宮を出た湯者四人はすでにノクトとラザフォード、シルフィーとファルコに分かれていた。


「それではしばらくの間は別行動ですね」

「そうだな。お互い無事である事を祈ろう」


 シルフィーはノクトとラザフォードに向けて言った言葉にラザフォードが答えた。


「シルフィー達も気を付けろよ。いくら俺達が勇者だろうと悪魔側にいた人間の女には関係ないんだ」

「そんな事は実際に戦った僕達が一番理解している。君も油断してやられない事だ」

「さすが一方的になぶられただけはあるな。言葉に凄みを感じる」

「明日は我が身という言葉を知らないとは、君は頭が悪いようだ」


「二人共!仲良くしろとは言わないので口論は控えて下さい!しばしの別れなのですから」


 ノクトとファルコの口論に割り込んで止めたシルフィーはため息を吐いた。


「ノクト達も気を付けて下さい。特にあの場にいなかったノクトはより警戒して下さい。悪魔側にいた女性は私達が一人で戦って良い相手ではありません」

「……分かってる」


 シルフィーの忠告にノクトは少し歯切れの悪い返事をした。


「それじゃあ俺達は南西の道を進むから勇者シルフィーと勇者ファルコは北東の道を進んでくれ」

「了解だ」


 勇者四人の目の前には二本の分かれ道があった。右が南西へ向かう道。左が北東へ向かう道だ。

 左の道へシルフィーとファルコは進みノクトとラザフォードは右の道へ分かれて進む。

 ノクトは南西に向かう道を進んでシルフィーとファルコの姿が見えなくなった。


「ラザフォードさん」

「なんだ勇者ノクト?」


 ノクトはラザフォードに声をかけた。


「俺のことはノクトでいい。それよりラザフォードさん達が相手した人間の女ってどんな奴だった?」


 ノクトはラザフォード達勇者三人を相手した悪魔側の少女について尋ねた。


「勇者シルフィーの魔法具で容姿は確認しただろう」

「そうじゃなくて、どれだけ強かった?」


 ノクトは悪魔側の少女の強さをラザフォードに尋ねた。

 ノクトは容姿が酷使しているだけで悪魔側の少女がシャルである確証がない。なので確証が掴むために一つでも情報を得追うとした。


「そうだな。俺達が連携して攻撃した聖剣術を防ぎ切った上、勇者ファルコの勇者の力の第一開放状態でなお勇者ファルコの聖剣に平然と鍔迫り合いしていた。しかも勇者シルフィーの第一開放状態の高速移動にも反応できた」


「第一開放状態?なんだそれ?」

「聖騎士から聞いていないのか?」


「レイノスさんは魔術と聖剣術での闘い方以外は教えてくれなかった」

「それじゃあ勇者の紋章を得て日の浅いノクトに分かるわけもないか」


 ラザフォードは進んでいた道に足を止めて傍に生えていた木の木陰に座った。


「早いが休憩だ。勇者の力について教えてやるからノクトもこっちへ来い」

「分かりました」


 ノクトもラザフォードが座る木陰の方に進んで腰を落とす。


「ノクトにはどこに勇者の紋章があるんだ?」

「右目と左手です」


「紋章が二つもあるのか。それなら感覚的でも感じたと思う。紋章のある部分に意識を集中した時、例えば右目に意識を集中した時普通なら目に追えない速さの物体が目に追えた事はないか?」

「思い当たる節はあります」


 先日の悪魔——カイとの戦闘でカイの魔術で射出された大量の矢を見切る時、射出された矢が遅く見えて見切る事に成功した。


「それがノクトの右目に宿る勇者の力だ。全部で勇者の紋章は七つある。その中で目、手、足の紋章にはそれぞれ共通する力がある。目は動体視力の急激な向上。手は聖剣術の急激な向上。足は急激な移動速度の向上だ」


「目の力を知ってるってことはラザフォードさんには左目に紋章があるんですか?」

「その通りだ」


 ノクトがラザフォードが例えで出した目の力から推察してラザフォードの紋章について尋ねるとラザフォードはノクトと目を合わせた。

 ラザフォードの左目には今まで見えなかった神秘的な文様が浮かんでいた。


「俺は左目に紋章がある。勇者ファルコには右手に、勇者シルフィーは右足と左足に紋章がある。二人共勇者の力を使いこなす事ができるはずだ」

「……そうなんですか」


 ノクトは自分以外の勇者が勇者の力を使いこなせる事を聞き焦燥感が芽生えた。

 ラザフォードの話を聞く限りノクトも無意識で勇者の力を使っていた事が分かった。しかしノクトは勇者の力を使いこなしていない。


 今までレイノスからは対人戦での魔術と聖剣術の使い方しか教わっていなかった。

 あれだけファルコを挑発していたのに自分はファルコが使いこなせる勇者の力を何一つ使いこなしていなかった事に初めて焦りを覚えた。


 それと同時にこの場に勇者の紋章を左目に宿しているラザフォードがいる事に幸運を感じていた。


「ラザフォードさん。頼みたいことがあります」

「なんだよいきなり」


 ノクトの突然の発言にラザフォードは少々驚いた。


「俺に勇者の力の使い方を教えて下さい‼」

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

今回二話連続投稿をしますので良ければ次話も読んで下さい。

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