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第十六話(裏)

 シャルは転移魔術によって悪魔達のアジトへ戻ると目の前には悪魔達の大半がすでに戻っていた。

 戻ってきている悪魔の手にはシャルの手に持っているのと同じ魔王の魔力が封印された魔石を手にしていた。


「どうやらシータの作戦は成功したようね」


 シータの作戦——シャルが勇者と戦闘をして勇者側はシャルが魔王の魔力を保管している祠に近づけないために戦闘させて、悪魔達の支援でシャルと勇者一人で戦わせるようにさせる。そしてシャルが勇者一人を戦闘不能にしたら勇者の持つ勇者の紋章を利用して既にリンクさせた全ての祠の施された立体魔法陣を破壊した。立体魔法陣を破壊したあと悪魔達が祠の中にある魔王の魔力を奪還する。

 その作戦を今この場にいる悪魔達は成功させた。


「あとここにいないのはカイとタウだけね」


 シャルは悪魔が大半いる中この場にいない悪魔であるカイとタウがまだ戻ってきて異なことに気付いた。

 そう思っていると黒い床に魔法陣が浮かび光の柱が立つ。光の柱が消えると光の柱が立っていたところにタウが立っていた。


 タウは致命傷を負っていないが全身傷だらけだった。


「どうしたのですかタウ⁉」


 傍にいたイプシロンはタウに傷について質問する。タウの様子を見て周りにいる悪魔もざわつく。


「私が転移した祠には現在の聖騎士がいただけです。お伝えしにくい事ですが私が転移した祠の魔王様の魔力は聖騎士に奪われました」

「それでタウはこんなに傷だらけというわけですね」

「仕方のない事です。相手が悪かったのです。史上最強の前聖騎士と肩を並べる現聖騎士と相手したのです。無事戻ってきただけ良しとしましょう」


 悪魔達は手負いの上魔王の魔力を奪還できなかったタウを慰めた。


「あとはカイだけですね」


 そしていまだに戻ってきていないカイの帰りを待つシャルと悪魔達。そんな時、シャルと悪魔達の思考に何者かが共有した。


『聞こえるか、同志達。カイだ』


 全員に思考を繋いだのはいまだ戻ってこないカイだった。


『どうしたのカイ?』


 シャルは思考を共有したカイにシャルは思考の中で会話する。


『自分も相手が悪かったです。自分が相手したのは勇者でした——』


 シャル達と対峙した勇者達とは別行動した勇者だろう。


『——そしてその勇者に自分はやられました。直に消滅します』


 共有しているカイの思考が徐々に弱くなっているのか頭の中に届くカイの声が弱弱しくなっていく。


「カイが転移した所へ転移して!後は私が相手するから!」


『もう遅いです。魔王様の魔力は勇者に奪われました。勇者もこの場を去るでしょう』


 シャルの声を張った頼みをカイが思考越しに手遅れと伝える。


『せめてカイが相手した勇者の容姿を教えて!』

『容姿を教える……までもない。……悪魔達全員が知っている……人物です……。だから……これから自分……が言う事は……本当の事です。冷静に……聞いて下さい——』


 カイはどんどん思考越しの声が小さくなる中、最期にシャルと悪魔達に相手した勇者の名前を伝えた。


 カイの最期の言葉を告げるとカイが共有していた思考が突然切れてカイと思考が繋がらくなった。

 カイの最期の言葉に悪魔達は言葉を失った。シャルは言葉を失った上考えたくもなかった現実をカイとの通信で突きつけられた。



『――自分が……相手した……勇者は……ノクト様……です……』

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

二話連続投稿の二話目です。

明日も投稿しますので気が向いたら続きを読んで下さい。

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