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第十五話(表裏)

 ノクトとカイを呑み込んだ光が消えると立体魔法陣は跡形もなかった。

 それに気付いたノクトにカイがノクトの方に向けて魔法陣を展開していた。


 ノクトはカイの展開した魔法陣が相手を遠距離まで吹き飛ばす斥力の魔術である事を瞬時に理解した。ノクトはすかさず走って躱す。しかしカイは魔法陣をノクトの方ではなく立体魔法陣が消滅した祠の方に向けた。祠に向けた斥力の魔術で石積みの祠は一つ一つ重量のありそうな意志を平然と吹き飛ばされた。


 祠の石は吹き飛ばされて祠が建っていた場所には一つの魔石が宙に浮いていた。

 宙に浮いている魔石には禍々しい気配を放っている。


 カイの魔術をノクトは躱そう走ってしまい宙に浮かぶ魔石からの距離を取ってしまったノクトは走る方向を魔石の方に変えた。


 しかしカイも宙に浮かぶ魔石に向かって駆け寄る。しかもノクトより魔石との距離が近い。

 手負いでノクトより速く走る事のできないカイだが距離的にカイの方が近く、おそらくノクトが全速力で走ってもカイの方が一足早く魔石を手に入れるだろう。それでは作戦失敗してしまう。


 宙に浮かぶ魔石に駆け寄るカイとノクト。やはり会の方が先に魔石に近づく。ノクトは何が何でもカイに魔石を奪われないために頭を回転させた。そして一つ一か八かの策のみが浮かぶ。王宮魔術師に作戦を練ってもらう時間はない。ノクトは一か八かの策を実行する。


 ノクトは手に持っている聖剣と左手に意識を集中させて聖剣から聖なる気が纏い出す。そして左手に勇者の紋章が浮かび光を放つ。カイと戦闘中に見せた安定して聖剣に纏っていた時とは違いゆらゆらと不安定に纏っている。しかし先程より纏っている聖なる気は一段と濃く白と黒の気が激しく奔流している。


 聖剣に纏っている聖なる気をカイが奪おうとしている魔石めがけて聖剣を振って聖なる気を放った。


 放たれた聖なる気は真っ直ぐ宙に浮かぶ魔石めがけて猛進する。聖剣術が魔石ごとカイを狙った事に気が付いたカイは魔石へ駆け寄っていた脚を止めて瞬時に聖剣術の巻き添えにならないよう後ろに下がった。


 ノクトが放った聖剣術は魔石ごと魔石の周囲の地面にぶつかりすさまじいい爆おおと共に周囲の地面を抉り土の破片と土煙を舞い散らせる。


 聖剣術を躱そうと後ろに下がったカイはノクトの聖剣術に直撃はしなかったものの地面に命中して爆散した聖なる気に触れて頭の半分と体の右半分が爛れていた。土煙が立ち込める中、土煙の中から上空へ何かが飛び出した。


 飛び出したのはノクトが聖剣術を放つ前に宙に浮かんでいた魔石だった。上空へ打ち上げられた魔石をノクトとカイはほぼ同時に気付きノクトとカイは上空へ打ち上げられた魔石を相手より速く手にするため地面を強く蹴り魔石へ飛ぶ。


 ほぼ同時に上空へ飛んだノクトとカイは手を伸ばして相手より早く魔石を掴もうとする。

 そして上空へ打ち上げられた魔石をノクトはカイより速く掴んだ。ほぼ同時に飛んだ買いもノクトのすぐ傍にいたが深手を負ったカイの跳躍力よりノクトの方が少しだけ上回っていた。


 魔石を掴んンだノクトは傍にいたカイを空中で蹴り飛ばして地面へ叩きつけた。

 地面に着地したノクトは深手を負ったカイに止めを刺すため聖剣を構えて近付いた。


「そんなに殺気立たなくても大丈夫です。ノクト様の聖剣術を受けて自分は直に消滅します」


 カイの言っている事は嘘ではなかった。カイの体は聖剣術を受けて斬ら落とされた右腕からどんどん煙のように黙々と立ち込めて体が消えている。


「しかしノクト様も気付いているはずです。魔王様の魔力はほぼ全て悪魔側が奪還しました。これで魔王様の復活が近付きました」


 カイは体が煙に変わり声も徐々に弱弱しくなる。


「精々……その魔王様の魔力が宿る魔石を……守るが良いです。……けれどその魔石も……自分達悪魔が全力で……奪還しにかかります」

「その時は俺が全力で相手になってやる」


 悪魔達の総意を代表したカイの宣言にノクトは吐き捨てるように言い返した。


「……その……言葉が……どこまで……続くのか……見物です……」


 カイは嘲笑を浮かべて体全てが煙に変わった。煙になった体は空気中で霧散して跡形もなく消えた。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

二話連続投稿の二話目です。

明日も投稿していきますので気が向いたら読んで下さい。

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