第九話
「どういう事です⁉なぜ悪魔が王国中にある全ての祠に出現するのですか⁉」
王宮内大広間——
王宮魔術師達は各地の魔王の魔力が保管されている祠に転移した上級騎士達全員から悪魔との遭遇を念話の魔法具越しから連絡が卒倒している。
確かに悪魔側が魔王の魔力を奪いに来る事は予見された。しかし魔王の魔力が保管されている祠全てに悪魔が現れるなど予見どころか予想もしなかった。
悪魔はかつての勇者の施した罠に手も足も出ないはずだが、なぜこのタイミングで悪魔達が動き出したのか不明だ。
しかし悪魔側は何か企んでいる事は間違いない。
「落ち着いて下さい!皆様は王宮魔術師です。ここで私達が統制を乱しては現地で悪魔達と対面している方々に的確な指示を出せません!」
王宮魔術師長であるライラックは大広間で勇者や騎士達と念話で状況報告を交わしながら転移魔術を展開し続ける王宮魔術師に落ち着くよう喝を入れる。
「まずは上級騎士の方々は祠の近くへ移動して悪魔からの攻撃を受けないようにするように。聖騎士様と勇者様達はそのまま悪魔と応戦するように。深手を負いそうになったら無理せずにすぐ報告するように念話で通知して下さい」
ライラックは王宮魔術師に指示を出し、悪魔と対峙している勇者や騎士達に作戦を伝えさせる。
「ライラック様!上級騎士達と対峙している悪魔達は遠距離から遠距離攻撃魔術で攻撃を繰り返しています!悪魔は依然と祠に施されている立体魔法陣の中へ入る素ぶりは見せないそうです!」
予想通り悪魔はかつての勇者の仕掛けた立体魔法陣には手の足も出ないのは変わっていない。
しかしそうなるとどうやって勇者の施した立体魔法陣を掻い潜り魔王の魔力を奪ったのか全く見当がつかない。
かつての勇者が施した立体魔法陣は外層、中層、内層、核の異なる魔法陣で構成されその一つ一つが高度な魔法陣だ。そんな立体魔法陣を作動させずに突破できるのはライラックが知る人物の中では今は亡き人である前聖騎士のエドワードと現在最強の魔術師で聖剣使いの現聖騎士のレイノスしか思い当たる者はいない。
突破して魔王の魔力を奪ったとしても悪魔以外の人間が魔王の魔力が封印されている魔石に触れでもしたら即座に魔王の魔力に拒否反応を起こして即死だ。
悪魔達がそれぞれ魔王の魔力が保管されている祠に現れたのかも、その目的も、その真意も不明なままこちらは後手に回った状態が続けば悪魔の思うつぼである。
ライラックは頭の中で打開策を考えるが悪魔達の行動目的が不明ない以上、上級騎士達を不用意に王宮へ転移させるのも危険である。
手も足も出ない状態になったのは悪魔の方ではなくこちら側な事にライラックは唇を噛んだ。
「悪魔と応戦している勇者と騎士達に報告です!悪魔達の動きが判明するまで無茶の戦闘は避けて悪魔達の真意が分かるまで戦闘を遅延するように伝えて下さい!」
ライラックは王宮魔術師達に伝えると王宮魔術師達は念話の魔法具を使い至急ライラックの指示を伝える。
「どうか皆様ご無事でいて下さい」
ライラックは小声で呟きただただ祈るしかなかった。
お疲れ様です。
tawashiと申す者です。
二話連続投稿の二話目ですがどうでしたでしょうか?
明日も投稿しますので気が向いたら読んで下さい。