第四話(裏)
悪魔達が姿を消すとシャルも部屋を出た。
自分の部屋に戻るシャルは来た通路を戻るとシャルの目の前に一体の線の太い悪魔が立っていた。
「シャルロット。少し時間を頂いてよろしいでしょうか?」
「何の用。ラムダ?」
シャルの目の前に立っている悪魔——ラムダはシャルの方へ歩み寄ってくる。
「今回のシータの作戦はシャルロットが要で一番危険が及びます。ですので健闘を祈ると伝えようと思いまして」
近づてくるラムダは調子のよい口調で話してくる。
「それだけ?」
「言ったでしょう?時間を取らせる気はありません」
「嘘」
シャルはラムダとの会話でラムダが嘘を吐いた事を悟った。
「どうしてそう思うか今後の参考にします」
「ラムダが私と話して腕を組む時、私に嘘を吐いてるか何か黙ってる時だから。そもそもそれだけのことなら私と思考を共有すればいいいことよ」
「そんな癖が出ていましたか」
シャルはラムダの何か隠している時の腕を組んで話す癖を指差した。
「これでも二年一緒にいるからあなた達悪魔の癖も覚えたわ」
「これは一本取られました」
「茶化さなくていいから隠してることを話して」
「シータには気を付けて下さい」
ラムダは先程までの調子のよい口調ではなく真剣さを帯びた声音で話す。
「シータだけではありません。私達悪魔は全員が全員全て同じ思考で行動しているわけではありません。魔王様を復活させ、世界をより良いものに変える事以外は全く異なる思想で行動しています」
「同じ悪魔でも一枚岩ってわけじゃないってことね」
ラムダの言っている事は二年間一緒に過ごしているシャルも思い当たる節がある。
魔王を復活させる事、世界をより良いものに変える事、その思想は悪魔善人が抱いているがそれ以外は人間と同じで全く異なる。思考を共有できるとはいえ肉体的にも精神的にも個々で特徴に違いがあり、考えている事が個々によって違いがある。
会議の時でも同じ悪魔でも意見が割れたのがいい例だ。
「察しがよくて助かります」
ラムダは異形の顔の口角が少し上がる。
「ラムダの言葉を借りれば、ラムダ。あなたの言葉も鵜呑みにしない方が良さそうね」
「これはまた一本取られました」
シャルの指摘でラムダは近づいてきた時のような調子の良さそうな雰囲気に戻った。
「けれど伝える事は伝えました。ですので私はこれで失礼します」
「そうね。私も部屋でゆっくり休みたいわ」
話が終わるとシャルはラムダの横を通り過ぎて通路を進む。
「だいぶ悪魔との対応の仕方を覚えましたね」
ラムダはシャルに聞こえない小声で呟いた。
二年前のシャルであればラムダの言葉に疑心暗鬼するか真っ向から否定するかしていた。しかし今のシャルはラムダの言葉をまったく気にしていないどころかラムダの上げ足を取る程まで強かになった。
「この調子なら明日も大丈夫でしょう」
ラムダはシャルの進んでいく方向と逆の通路を進んでいく。
お疲れ様です。
tawashiと申す者です。
今回も読んで頂き誠にありがとうございます。
明日も燈越していきますので気が向いたら読んで下さい。