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第十六話(裏)

 引き出しの中には何通もの手紙が入っていた。

 手紙を手に取ると手紙に書かれている宛先が全てエドワードの物だった。


 手紙を開けて中身を見ると差出人が王宮からの物で読んでいくと王宮からの依頼書だった。引き出しの中に入っている手紙を読み漁っていくと全てが王宮からの依頼書でその全てが悪魔のアジトの捜索や国にとって害をなす魔術結社の撲滅など一流の魔術師でも匙を投げるような内容の無理難題が書かれていた。


 そして悪魔達が語っていたノクトを魔王と相討ちにするための兵器として修業させる計画の進捗状況の定期報告書まで入っていた。

 この手紙を読むだけでエドワードが国の利己的な命令を一身に受けて命令をこなしていた事が分かる。しかし手紙に書かれた命令に背いていた物もあった。


 ノクトが近い未来この世界に仇名す存在として国の予見者が予見した事で早急にノクトを抹殺するように命令された依頼書と、この手紙にアンリを英傑の転生者として王宮が向かい入れるため王宮から招集状も封入されていた。しかしこの手紙が送られてきたのは半年ほど前の日にちだった。


「どうしてお養父とうさんがこんなことをさせられるの?」


 読んでいたシャルは悲しみや憎しみなどの負の感情が交じり合ってどうしようもなくシャルの瞳から涙が流れた。読んでいる手紙を強くつかみ過ぎて掴んでいた手紙をくしゃくしゃにしかけている。


『これが古くから続く王宮の闇だ。王宮に住む王族並びに元老院共は自分達に仕える人間など良くて道具としか思っていない。多くの王宮の人間は勇者でさえ捨て駒と考えている者もいる——』


 魔王は自分が経験してきた昔から続く因習について語った。


『——だからこそ我はこれを良しとする世界を変えるために動いた。しかし一歩及ばず我は英傑に討たれた。そして勇者に我の魔力を分散させ復活する邪魔をした。それも全て改竄された聖典を崇拝する王宮の狂った人間の考えが原因だ』


 魔王は魔力で形作られていて表情が分からないはずなのに忌々しい感情が見て伝わってくる。

 シャルは再び机の引き出しを探ると引き出しの奥に数冊の本が入っていた。


「これは?」


 シャルが手に取って本の表紙はシャルの見た事のない文字で書かれている。中身を開いて読んでみるも見た事のない文字が書かれていて書かれている意味が分からない。引き出しに入っている他の本も同じように見た事もない文字で書かれていて書かれている意味が分からなかった。


「やはりありましたか」

タウが期待が当たったようで声が少し高揚した。


「この本は何なの?」

シャルは魔王の方を見て質問した。


『王宮の人間が崇拝している聖典だ。それも宗教ごとに別々の聖典があるとは。奴も聖典の中身の虚偽や不備に気付いて調べていたのか』


 魔王は感心したような口調で言葉を発した。


「これが聖典」

 シャルは手に取った聖典を睨んだ。


「でもどうして聖典がこんなにあるの?宗教ごとの聖典なんて集める必要なんてあるの?」

 シャルが率直な質問をした。


『宗教ごとに聖典の内容に違いがあると言えば話は別だ。奴は元々同じ聖典を崇拝したのにも関わらず、今では宗教ごとに聖典の内容に違いが出た事に疑問を抱いて調べていたのだろう』


 それなら合点がいく。しかしなぜ魔王が聖典を探していたのかが不明だ。


「なんであなたが宗教ごとの聖典を探していたの?」

『聖典を書き換えた者を探すためだ』


 シャルの質問に魔王は端的に答えた。


『聖典が書き換えられていると提言しても書き換えられた聖典を崇拝している人間達が信じるはずもない。だから我は聖典を書き換えた者を見つけ決定的な証拠を提示した上で聖典の間違いを提言する』

 魔王は自身の目的の一つを語る。


「でも聖典が書き換えられたのってとても昔のことよね?だったら書き換えた人なんてもう死んでてもおかしくないよ」


 シャルはもっともな事を言った。

 いつから聖典が書き換えられたのか分からないが王宮の人間が崇拝する程の大きな宗教なら長い歴史があるはず。その初期に書き換えられたとすると人間が生き残る事など不可能な年月が経っている。


『聖典の原本オリジナルは一定期間で場所を移動する機能を持っている。隠しても意味がない』


 魔王は聖典の原本の特徴を語った。そうなると聖典の原本が移動したらまた隠すために探しているという事。それを大昔から繰り返している者がいるとなるとその者は人間ではない事は容易に想像がつく。


「それであなたは聖典を書き換えた人に心当たりはあるの?」

『心当たりはある。しかし今の我では書き換えた者を探す力さえない。だからこそ復活した後書き換えた者を探し出し書き換えられた聖典の間違いを提言するのだ』


 魔王が復活する具体的な目的をシャルは初めて知った。


「あなたの目的は分かったわ。でも私は受け取った力が順応するまで休ませてもらうわ。完全に順応できたら私は私の意志で動く」


 シャルは手に持っていた聖典を机の上に置いて部屋を出るため出口に向かって歩く。


お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

今回も読んで頂き誠にありがとうございます。

今回も二話連続投稿をします。

良ければ次話も読んで頂けると幸いです。

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