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第十五話(裏)

『シャルロットがここまで来るのに見た埋め込まれた数多の宝石についてタウから聞いているか?』

「聞いたわ。魔王の魔力を分散して閉じ込めた宝石なんだってね」


 タウから聞いた宝石に宿った魔力の正体。勇者が分散した魔王の魔力を悪魔達が千年近く回収してきた。


『そうだ。そして我が眷属が心血注いで見つけ出した残りの我が魔力が勇者の血族に保管されている』

「それも聞いた。けどそれと私に頼みたいことと何か関係があるの?」


 シャルはタウの話を聞いていた時から抱いていた疑問を魔王に尋ねた。


「だって悪魔は贄さえあれば復活できるんでしょ。それなら手がかかっても魔力が宿った宝石を回収する事は可能でしょ?」

「それができないから魔王様はシャルロットさんに頼んでいるんです」


 横からタウがシャルの質問に答えた。


「確かに私達は贄があれば復活できます。けれど私達が復活する事ができない傷を負わせる人間がいます」

「それって」


 シャルは悪魔が集会していた部屋にいたアルファとオメガを思い出す。


『シャルロットの考えている通りだ。勇者の力は我が眷属には致命傷になる。勇者の血族は勇者が生前に我が眷属から我が魔力を奪還させないために施した罠で今まで守ってきた』


 悪魔にとって勇者の力は致命傷になる。道理でアルファとオメガが傷を負ったまま元に戻らなかったわけだ。


『しかし、シャルロットはアルファとオメガの力を得たとはいえ人間だ。シャルロットなら勇者の血族から我が魔力を奪還する事ができる』


 魔王の話で納得がいった。自分しかできない理由は悪魔の肉体では勇者の施した罠で復活できない致命傷を受けてしまう。人間の肉体であるシャルなら勇者の施した罠にかからず魔王の魔力を奪還できる。


「それであなたの魔力を回収してあなたは何がしたいの?」

 シャルは魔王に率直な質問をした。


『我が復活するために力を取り戻したい』

 シャルに魔王の目的——魔王の復活に必要な力を取り戻す事を伝えた。


「やっぱりね。イプシロンって悪魔の説明を聞いて薄々感じてたけど。私に悪魔の力を託したのも私があなたの駒として使いたいからのことなのね?」


 シャルは魔王を見て皮肉気に笑いながら言葉を紡いだ。


『アルファとオメガは自分達の意志でシャルロットに力を託した。それに我はシャルロットを駒と思っていない——』


 魔王はシャルの言葉に対して改めて自分の思いを伝える。


『——我らと同じ決意を持った同志だと思っている。だからこそシャルロットに我らができない事を頼んだ』

「それって命令なの?」


 シャルの質問に魔王は切実な思いを込めて答える。


『違う。我らの嘆願だ』

 魔王の言葉には言葉の意味以上の思いが籠っていた。


 その言葉にシャルは口を開いた。


「アルファとオメガにも言ったけど、私は私の意志で世界をより良くする。それがあなたを復活させるのが近道なら、私はあなたの願いだからじゃなくて私の意志であなたを復活させる」


 シャルの言葉に魔王は人型の魔力で細かい表情や動きが分からないのにもかかわらず苦笑しているように見えた。


『ありがとう、シャルロット。やはり君に話をして正解だった』

 魔王は再び頭を下げて感謝の意を伝える。


『しかし今は我が眷属の力がシャルロットの体に完全に順応したわけではない。アルファとオメガの力は我が眷属の中でも特に我の力を分けた奴らだ。その力が完全に順応するまで一年近くかかるだろう』

「そんなにかかるの⁉」


 魔王の説明にシャルは驚いた。

 儀式の後にシグマが時間がかかると言っていたが一年近くかかるとは言っていなかった。


『そうだ。だからその間はゆっくり休んでくれ』

 魔王は休息をとるように話した。


「魔王様。プサイの土産についてもシャルロットさんに話されたほうがよろしいのでは?」

 タウが魔王に失礼のないよう傅きながら告げた。


『そうだなタウ。シャルロット、君に見てもらいたいものがある』


 魔王がそう言うとシャルの目の前に突如シャルより一回り大きい何かが現れた。

 重厚感のある木製の質が美しい机が現れた。目の前に現れた机にシャルは見覚えがあった。エドワードの書斎に置かれていた机だ。


「何でお養父とうさんの机なんかがここにあるの?」

「プサイが土産として持ってきたのです」


 シャルの疑問にタウが答えた。


「この机には特定の者以外が中身を開けようとすると敵と見なして罠が作動するように術式が組み込まれています。プサイが術式を解こうとしたようですが、プサイの力でも解除できなかったみたいです」


 それで机をそのまま持ってきたという事か。


「それだけ大事なものを保管している机です。術式を作動させないで中身を開けられる人物がここにいるので魔王様もいる今ここで開けてもらいましょう」


 津の話している机の中身を開けられる人物にシャルはすぐ感付いた。


「私に開けてほしいんでしょ?」

「私は察しが良い者が好きですよ」


 シャルはタウの遠回しな言葉に呆れつつ、机に近づいた。シャルは机の引き出しを開けるため手に触れた。シャルが机に引き出しに触れても何も起こらなかった。シャルはそのまま引き出しを引いて中を開けた。


お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

二話連続投稿の二話目を読んできただき誠にありがとうございます。

明日も投稿しますので気が向いたら読んできた抱けると幸いです。

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