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第三十九話(表裏)

 傍観者と魔王を討ち滅ぼして数ヶ月が経過した。

 傍観者の襲撃によって半壊した王宮は修繕され始めて大破した天井が塞がった。

 幸か不幸か半壊した王宮の地下牢は傍観者の種劇による被害はかなり小さかった。


「元気か。シャル」


 地下牢を訪れたノクトは地下牢の一室の鉄柵の前に到着した。

 ノクトの目の前の鉄柵の中には魔力絶縁体の手枷を付けられたシャルの姿があった。


「毎週来なくてもいいわよ。ノクト」


 牢の中に監禁されているシャルはノクトの方を見た。

 ノクトを見るシャルは呆れたような、しかしどこか安心しているような表情を浮かべた。

 傍観者を討ち滅ぼしてからノクト足りはシャルとアンリを保護した。


 アンリは傍観者との戦いや魔王の器として動いていた事による体の治療のため王宮の医院で静養している。

 一方のシャルはアンリよりも早く治療が済み、今までの王国へ与えた被害に報いるために自ら地下牢へ収監された。


「アンリの調子はどう?」


 シャルはノクトを見ながら尋ねた。

 シャルは退院してから今まで収監されている事もあり外部からの情報はノクトとの会話でしか入手できていない。


「あぁ、まだ傍観者の呪いを解くために行使した力の影響がまだ残っているみたいだ。けど前よりもずっと良くなってる」

「そうなのね」


 ノクトからアンリの容態を聞いて安堵するシャルはほっと息を吐いた。


「今日はアンリの話だけをしにここに来たわけじゃないでしょ?」


 息と吐いた直後、シャルは真剣な眼差しでノクトを見る。

 どうやらシャルはノクトの様子がわずかに違う事を見抜いていた。


「シャルとアンリに下す刑が昨日付で決まった」


 ノクトの口から告げられた言葉にシャルは腹を括った表情を浮かべた。

 世界を救うためとはいえ、魔王の復活のために国民の不安を煽った事は大罪と言って差し支えない。その上、殺す気がなかったとはいえ勇者達を危険を及ばせた事は国の法律上その罪に見合うバツが下る。


「私が罰を受けるのは理解できるわ。けどアンリが罪に問われるのだけは納得いかないわ。アンリはただ魔王の器になっていただけよ」


 シャルは真剣な眼差しでノクトを見た。


「安心しろ。アンリの罪は国王の嘆願で不問になった」

「良かったわ」


 シャルに見られたノクトはシルフィーの手回しのおかげでアンリの罪が不問になった事を告げると、シャルは安堵の息を漏らした。


「シャルに関しても傍観者の討伐の功績が認められて、これまでの罪は不問になった。今日はそれを伝えに来たんだ」


 ノクトは明るい表情を浮かべて罪が不問になった事をシャルに伝えた。するとシャルはくすっと笑う。


「あの堅物そうな国王様が私の罪を不問にするとは、以外ね」

「それだけ傍観者を討伐した功績は大きいって事だ」


 皮肉気に鼻で笑った後シャルは目を合わせているノクトに言葉を紡ぐ。


「ノクト。お願いがあるの」

「何だ?」


 ノクトは目を合わせたシャルから頼み事を告げられる。

 するとシャルの胸元から淡い光の粒子が溢れて手枷を付けられている掌に積もる。


「悪魔達の魂を外に放ってほしいの」


 シャルは胸元から溢れて掌に積もった光の粒子——悪魔の魂をノクトの方へ手渡しする。

 シャルとアンリの命を救うために自ら贄となった悪魔達の魂をノクトに渡すとシャルは頭を下げてお願いをした。

 シャルにとっては数年の時間を共に過ごした仲間だ。

 出会いこそ最悪だったが、シャルと共に過ごした時間と相まって情が移ったのだろう。


「分かった。確かに預かった」


 ノクトは悪魔達の魂を受け取ると懐から小さな瓶を取り出して、瓶の中に悪魔達の魂を詰めた。

 悪魔達の魂を瓶に詰めるとノクトは瓶を懐の中へしまう。

 するとノクトは踵を返して地下牢の出口へ進む。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

残り数話でこの物語は結びとなります。

最後まで投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。

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