第三十二話(表裏)
傍観者は再び剣の切っ先から光が収束するとノクトは瞬時に聖剣から聖なる気を放った。
聖なる気が傍観者の握る剣の刀身に衝突すると傍観者の握る剣の切っ先から光の塊が放たれた。しかし放たれた方向は勇者や悪魔達のいない別の方向へ飛んでいった。
明後日の方向へ飛んでいった光の塊は遠くまで進み光の奔流を起こした。
「攻撃をする直前に攻撃を逸らすのはいい判断だ」
光の塊の軌道を放つ直前に変えたノクトに傍観者は翔さんの言葉を紡ぐと、空中にいる悪魔達は一斉に魔法陣を展開した。
展開された魔法陣達が重なるとより強い光を放ち出すと、幾重にも魔法陣が折り重なって巨大な魔法陣に変わる。
巨大な魔法陣が完全に展開されると魔王は聖剣の切っ先を魔王人の中心に向けた。聖剣の切っ先から金色の炎の火の玉が放たれると、金色の火の玉と呼応するように巨大な魔法陣が点滅する。
金色の火の玉が巨大な魔法陣に触れた瞬間、巨大な魔法陣から金色の火柱が立つ。
金色の火柱に呑み込まれた傍観者は苦悶の表情を見せた。
「この炎は効くはずだったな」
魔王は金色の火柱を制御して呑み込んでいる傍観者に鋭い視線を向けた。
傍観者の体に火傷の跡が付いていく中、魔王と悪魔達は一切手を緩めることなく金色の火柱を立ち上げ続ける。
金色の火柱に呑み込まれている傍観者の握っていた剣は金色の炎の中で融かされていく。
しかし金色の炎に呑み込まれた傍観者の体は火傷のみで焼き尽くされることはなかった。
傍観者は呑み込まれた金色の炎から脱出しようとすると傍観者の足元に赤熱した鞭が巻き付いていた。
「これなら逃げられないでしょ」
シャルは手元に魔法陣を展開して傍観者の足元から拘束の魔術を発動していた。
傍観者は逃げる事が出来ずにただ金色の炎に呑み込まれ徐々に体を焼かれていく。
傍観者を呑み込んだ金色の火柱にノクトは聖剣の刀身に漆黒の炎を纏わせた。そして纏わせた漆黒の炎を金色の火柱に放った。
金色の火柱にノクトの放った漆黒の炎に触れた瞬間、金色の火柱が鈍色に変色した。
金色の炎が鈍色の炎に変化した途端、火柱の中にいた傍観者の表情が更に苦悶の滲んだ表情を浮かべた。
鈍色の炎が縦横無尽に傍観者の体を焼き尽くそうとする中、シャルの高速魔術によって抜け出せずにいた。
そして傍観者は体を焼き尽くされて徐々に灰に変わっていく。
「これで終わりだ」
灰に変わっていく傍観者に漆黒の炎を放ったノクトは凍てつく視線を向けた。
「……これで……終わりだと思うなよ……」
お疲れ様です。
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