第三十一話(表裏)
魔王が光の檻から解放されると傍観者は若干苦い顔を浮かべた。
その直後、傍観者の足元から穴だらけになっている魔法陣とは別の魔法陣が浮かび上がった。
新たに浮かび上がった魔法陣から漆黒の雷光が空中にいる悪魔達に向かって放たれた。
漆黒の雷光が飛んでくると悪魔達の前に聖剣術の盾が顕現して直撃を免れた。
「感謝するぞ。勇者シルフィー」
聖剣術の盾に守られた悪魔達を代表して魔王が礼を言った。
漆黒の雷光を放った傍観者は苦い表情のままシルフィーw見る。
「やはり、先に始末するべきは貴様のようだな、勇者シルフィー」
傍観者は鋭い眼光でシルフィーを睨むと剣を構えた。
傍観者が剣を上段に構えると剣の切っ先から白銀の光が収束していく。
白銀の光が今まで以上に切っ先へ収束していくと天井に向けて光の塊を打ち上げた。
光の塊が討ちあがると放物線を描いてシルフィー達の元へ落ちていく。
シルフィーはすぐに光の塊の落下地点に聖剣術の盾を顕現した。
聖剣術の盾に光の塊が衝突する直前、光の塊が分裂して聖剣術の盾のない軌道へ落下していく。
シルフィーは分裂した光の塊に驚愕する中、分裂した光の塊は聖剣術の盾を避けて純白の床に衝突した。
光の塊が床に衝突すると爆風と共に白銀の光が奔流する。
光の奔流で勇者達のいる場所が白銀の光に包まれると魔王は咄嗟に勇者達の方を一瞥する。
「これなら防ぎ切れまい」
光の奔流が落ち着くと傍観者は光の奔流が起きた先を見た。
光の奔流が起きた場所から人影が見えた。
聖剣術の盾で防ぎ切れなかった勇者達のいる場所には半球状の形状に変形した漆黒の炎が勇者達のいる場所を包んでいた。
「咄嗟に漆黒の炎で守ったか。シャルロット」
傍観者は半球状の漆黒の炎を一瞥した後漆黒の炎か越しに見えた人影の中から現れたシャルの姿を睨む。
「……助かりました。シャルロット」
肩で息をしているシルフィーは防ぎ切れなかった白銀の光を防いだシャルの方を見た。
シャルに礼を言ったシルフィーや傍にいたノクト、ファルコ、ラザフォードの肌はところどころ爛れていた。
漆黒の炎では完全に防ぎ切れなかったのだろう。
「さすがにこの程度では他に助けられてしまうか」
傍観者は上段に構えた剣をそっと下げてシャルを見た。
すると傍観者は次に県の切っ先をシャルに向けた。向けた切っ先から光の塊が放たれた。
「⁉」
シルフィーはシャルに放たれた光の塊を見るとすぐにシャルの前に聖剣術の盾を顕現する。
顕現した聖剣術の盾が放たれた光の塊に衝突する直前、勇者達のいる方へ軌道を変えた。
「皆さん!避けて下さい!」
軌道を変えた光の塊にシルフィーは聖剣術の盾の顕現が間に合わないと判断すると周りにいる勇者達に光の塊を避けるように大声で忠告した。
周囲にいるノクトファルコ、ラザフォードはシルフィーの言葉を聞いて反射的に光の塊を避けるように動く。
傍観者の光の雨の攻撃で床はところどころ赤熱してまともに着地できる場所が少ない仲、勇者四人は足場にがある床にそれぞれ跳躍した。
光の塊が着弾すると爆風が巻き起こり勇者四人を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた勇者四人は空中で体勢を立て直して目指した足場へなんとか着地した。
「先程の牽制を咄嗟に避けるとは思わなかったが、無事とはいかなかったようだな」
傍観者は光の塊を避けた勇者四人を見ると、勇者四人の肌は先程よりも爛れていた。
「これだけ私の攻撃を防御しヨウトしても今までのように防げると思わない事だ」
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。