第二十六話(表裏)
「連れて来ました」
一体の悪魔が光の柱から現れると後を追ってシルフィー、ファルコ、ラザフォードが光の柱から現れた。
「ありがとう。ユプシロン」
シャルは勇者達を連れてきたユプシロンに感謝を伝えると、勇者達はシャルを見た。
「そこの悪魔から大体の事情を聴いた。それで魔王を助けるための策ってなんだ?」
ラザフォードは単刀直入にシャルへ尋ねた。
「端的に言えばノクトには傍観者を誘き出すための囮になってもらうのよ」
シャルが口で端的に策を伝えると勇者達はシャルを睨んだ。
「そんなに殺気を立てないで。私も何の策もなしにノクトを囮にしないわ」
シャルは勇者達の警戒心を抑えるように話すと勇者達の雰囲気が落ち着いていく。
「それで、その策というのは何ですか?」
シルフィーはシャルを鋭い視線を向けてシャルの策を尋ねた。
「それは——」
シャルはこの場にいる者全員に自身が立てた策を口にする。
この場にいる悪魔全員と勇者はシャルの策を聞く驚きで目を大きく見開いた。
勇者だけでなく味方である悪魔すらも驚きの表情を浮かべている策を提案しているシャルは見るからに落ち着いていた。
「——という事よ」
シャルは自身の立てた策をこの場にいる全員に説明し終えるとノクトは真っ先に口を挟む。
「俺はともかくシャルがそこまで危険なことをする必要はないだろ!」
ノクトは声を荒げてシャルの策に口を挟んだ。
「ですが、シャルロットの言う策以上にこの状況を打開できる策は思いつきません」
シルフィーはシャルの策に反対するノクトを制止する言葉を紡いだ。
「勇者シルフィーの言う通りです。ノクト様の言いたい事も分かりますが、現状私達にこれ以上の打開策はありません」
一体の悪魔がシルフィーの意見に賛同すると他の悪魔達も小さく首を縦に振って賛同する。
「この策はノクトがいない成立しない策よ。だから最後の判断はノクトに任せるわ」
そう言うとシャルはノクトを真剣な眼差しで見つめた。
ノクトはもう一度シャルの話した策を頭の中で反芻する。
確かに囮として動くのでノクトには危険がある。だがこの策はノクト以上にシャルが危険を冒す事になる。だがそれ以上に最良の策が思いつかないのも事実だ。
ノクトは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「……分かった。シャルの策に乗る」
ノクトは苦渋の表情を押さえてシャルの策に賛同する。
「それじゃあ、敵の根城に行くわよ」
シャルは一本の槍を魔法陣を展開して顕現すると、足元の積もっている灰に顕現した槍の切っ先を向けた。
すると槍の切っ先から魔法陣が展開されて足元に巨大な魔法陣が広がった。
広がった魔法陣から光の柱が立ち上るとノクト、達勇者とシャル達悪魔は光の柱に呑み込まれる。
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