第十一話(裏)
「現れたみたいね」
悪魔の根城の一室。
シャルは目の前に展開された魔法陣を見て臨戦状態になる。
シャルの周囲には悪魔が数体いて、シャルと同じく戦闘準備ができていた。
展開された魔法陣から光の柱が立つと光の柱の中から人影が現れた。
現れた人影は白装束を着ている人物だった。
「聖典に書かれた通り来たようね。傍観者」
光の柱から現れた傍観者にシャルは魔法陣から顕現した漆黒の剣を構えた。
「やはり待ち構えていたか。魔王の眷属達よ」
悪魔の根城に到着した傍観者は目の前にいるシャルと悪魔に視線を向けた。
「私がここに来ることを先読みしていたか」
「えぇ、あなたが保管していた聖典の原本の未来にそう書かれていたわ」
「どうりで私がここに来ても大して驚かないわけだ」
悪魔の根城は悪魔や魔王の力がなければ入る事は出来ない異空間だ。
その場所に行くためには魔王、もしくは悪魔の魔力を見に宿していなければ来るのは不可能だ。
それを可能にしたのは——
「あなたがノクトの魔力を奪ったのは知っている、そしてここへ来ることも聖典に書かれていた」
「さすがは魔王の右腕だ。聖典の未来の出来事は暗号化して読めなくしたのだが、解読されていたか」
「そういう事よ。だったら私達がする事も分かっているのでしょ?」
「もちろん。私をこの場で屠るつもりなのだろう?」
傍観者はシャル達悪魔がこれからする事を口にするとシャルは構えた剣の切っ先から魔法陣を展開した。
展開された魔法陣から稲光が発せられると、魔法陣から雷撃が傍観者の元へ放たれた。
傍観者はシャルの放った雷撃に対して何一つ動かなかった。
シャルの放った雷撃が傍観者にぶつかると黒煙が周囲に吹き荒れた。
吹き荒れた黒煙が霧散していくとその場に立っていた傍観者の姿が見えていく。
包まれていた黒煙が晴れていくと傍観者の姿がはっきりと見えていく。
傍観者はシャルの放った雷撃で傷一つ付かないままその場に立っていた。
その様子を見てシャルは目を引きつらせた。
「聖典に書かれた通り、その体今まで以上に強化したようね?」
「その通りだ。あれだけ私の器を壊されたのだ。対策一つ建てなければこのまま器を全て壊されかねないからな」
傍観者は不敵な笑みを浮かべると手元に魔法陣を展開させて一本の剣を顕現した。
顕現した剣を握ると傍観者はシャルの元に駆け寄った。
シャルのすぐ傍まで間合いを詰めた傍観者は構えた剣でシャルに刺突する。
刺突した剣をシャルは構えている剣でぢ突の軌道を逸らす。
刺突の軌道を逸らしたシャルはすぐに傍観者の懐に剣で斬りかかろうとした。
シャルが斬りかかろうとすると傍観者はすぐに距離を取った。
「さすがにこの程度の攻撃では傷一つ与えられそうにないか」
「その通りよ。けど私もここじゃ戦いにくいわね」
シャルは傍観者に剣の切っ先を向けると、剣の切っ先を床に突き刺した。
床に突き刺した剣から魔法陣が展開されるとこの場にいる傍観者、悪魔を呑み込むほどの光に呑み込まれた。
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