第十一話
傍観者はすぐに魔法陣を展開して漆黒の雷撃を放つ。
放たれた漆黒の雷撃をシルフィーは聖剣術の盾を顕現して防御する。
しかし漆黒の雷撃が聖剣術の盾にぶつかると聖剣術の盾に亀裂が入り漆黒の雷撃を防ぎ切れなかった。
防ぎ切れなかった漆黒の雷撃は聖剣術の盾を突き破り湯者達の元へ進攻する。
勇者達はすぐ両脚に意識を集中させて勇者の力を発動する。
漆黒の雷撃を即座に移動して躱すと、漆黒の雷撃は先程まで勇者がいた場所に衝突して煙を巻き上げた。
傍観者の横に回り込むノクトとファルコは即座に両手に意識を集中して手に刻まれている紋章の力を発動する。
紋章が光を放つと握っている聖剣に力強い光が纏い出した。聖剣術を強化したノクトとファルコはそのまま傍観者の間合いまで踏み込み傍観者に斬りかかる。
傍観者は二人とは目を合わせず足元に魔法陣を展開すると斬りかかったノクトとファルコの聖剣が突如止まった。
二人は空中で動きが固まってしまった聖剣委驚愕すると傍観者は宮中で止まった聖剣の刀身を素手で掴んだ。
傍観者が聖剣の刀身を掴んだのにも関わらず、手から一滴も血を流さなかった。
傍観者は掴んだ答申に力を籠めるとノクトとファルコの聖剣がきしむ音が聞こえた。
二人は咄嗟に傍観者の腕を蹴って傍観者の手から聖剣を放させた。
傍観者が聖剣から手を放すと二人はすぐに距離を取った。
距離を取った二人は聖剣の刀身を見た。
刀身の刃は傍観者が握った部分が刃毀れしていてわずかに歪んでいた。
ファルコは聖剣を振るい光の束を傍観者に放つと、傍観者は防御用の魔法陣を展開してファルコの放った光の束の軌道を逸らした。
軌道が逸れた光の束は集会の間の天井に衝突して王宮の屋根を破壊した。
「その程度の攻撃、私に直撃するとでも思うのか?」
そう言うと傍観者は突き破れた天井へ向かって空中を浮遊し出した。
空中に浮くと傍観者はすぐに勇者の足元に魔法陣を展開する。展開した魔法陣から銀色の流体がしみだして勇者の脚を呑み込んだ。
銀色の流体に足を呑み込まれると、流体だった銀色の物体は金属のように硬く固まった。
固まった銀色の物体に足を呑み込まれた勇者はいっぽオ身動きが取れなくなる。
「この一撃で全て終わらせよう」
傍観者は頭上に魔法陣を展開すると魔法陣は幾重にも天高く広がり空に描かれた。すると空は急に黒雲が立ち込めて渦を巻き出した。
黒雲からゴロゴロと雷鳴が鳴り出すと同時に黒雲は漆黒の稲光が帯電し始める。
そして漆黒の稲光の帯電が臨界点を超えた瞬間、雷鳴を轟かせながら王宮に向かって漆黒の落雷が落ちた。
漆黒の雷が王宮に落ちると破壊音と共に王宮の城壁は粉々に砕かれていった。
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