第九話
ヒストリア王国王宮。
集会の間には勇者四人が集結していた。
「予定よりも早く複写をして下さったこと、感謝します。ノクト」
玉座に座っているシルフィーは目の前にいるノクトに感謝を伝えた。
先日ノクトは複写した聖典の原本の複写物をシルフィー達王国側に渡した。
その仕事に労いの言葉をかけるシルフィーはノクトを見つめた。
「そのことだが、先日シャルが聖典の原本の解読書を届けに来た」
ノクトが悪魔側であるシャルの名前を出すとこの場にいる勇者の雰囲気が変わった。
「という事は未来の出来事が書かれた暗号を解読できたという事ですか?」
シルフィーはノクトを真剣な眼差しを向けて尋ねた。
「あぁ」
ノクトはそっけない様子で答えると一冊の本を前に出した。
ノクトが前に出した本——聖典の原本の一冊を前に出すとシルフィーは玉座から離れてノクトの前まで移動する。
シルフィーはノクトの前に着くと差し出した聖典の原本を受け取った。
受け取った原本に目を通していくと前に暗号化されていた部分までのページを開く。
開いたページに記されていたのは解読できなかった暗号ではなく国民共通の文字に変わっていた。
「なるほど、そういう事でしたか」
未来の出来事に目を通していくシルフィーは小さく頷いた。
シルフィーは原本の最後まで目を通すと、原本を閉じた。
シルフィーは閉じた原本を傍にいたファルコに渡した。
シルフィーから受け取った原本をファルコは開いて目を通す。
「これで納得しました。魔王が私達勇者に力を貸していたのか」
シルフィーはどこか腑に落ちた様子で目を通しているファルコを見た。
ファルコも未来の出来事が記されている部分に目を通して目を大きく見開いていた。
そんな最中、周囲の空気が急にひりついた。
「どうやら未来の出来事について解読していたか」
集会の間に誰かの声が聞こえた。
勇者達は周囲を見回して声の主を探す。しかし周りには声を発したであろう人物がいなかった。
「原本に書かれた通り、来ましたか」
シルフィーを含めた勇者達は感じる威圧感に聖剣を抜剣する。
抜剣すると同時に床に魔法陣が浮かんだ。
浮かび上がった魔法陣は光の柱が立ち人の影を浮かび上がらせる。
「やっと姿を出したか、傍観者」
お疲れ様です。
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