第二十三話(表裏)
「終わった」
自室の机の前の椅子の背もたれにずっしり寄り掛かったノクトは眉間を指でもむ。
書斎机に山積みになっている羊皮紙には聖典の原本の解読できる箇所までを書き記されていた。
ノクトは数日をかけて聖典の原本を複写し終えた。
「あとはシルフィーにこれを渡せば——」
ノクトは椅子から立ち上がり山積みになっている解読した聖典の原本御肺葉を掴もうとした直前、背後から何者かの気配が現れた。
ノクトは背後に現れた気配に気付き振り返ると視界には漆黒の炎の柱ができていた。
「何の用だ?シャル?」
視界に映る漆黒の炎の柱が消え始めた。消え始めた漆黒の炎の中から黒の外套を羽織った少女が現れた。
「あら、随分大雑把な挨拶ね。ノクト」
ノクトの部屋に突如現れた黒の外套の少女——シャルは手元に一冊の本を持ってノクトに話しかけた。
「それはこっちの台詞だ。勝手に部屋に入ってくるなんてそんなに急ぎなのか?」
ノクトは小さくため息を吐いてシャルの方を見て声をかけた。
ノクトに声をかけられたシャルは少しだけ眉間にしわを寄せて言葉を返す。
「その通りよ。ようやく聖典の原本を解読できる解読書を手に入れられたのよ」
返したシャルの言葉にノクトは目を大きく見開いてシャルを見た。
「それは本当か?」
「本当よ」
ノクトはシャルの元に近付き口にした事が本当なのか尋ねるとシャルは手に持っていた一冊の本を前に出した。
「これがあれば聖典の原本の未来に記されている暗号を解読できるわ」
ノクトはシャルが前に出した本——解読書をノクトは受け取ると手に取った解読書を開いた。
「解読するには聖典の原本に解読書に宿テイル術式と魔力を流せば暗号化している文字が読めるようになるわ」
「本当か?」
ノクトはシャルの言った事に尋ねるとシャルは肯定に異を示す。
「そうよ。聖典の原本を机の上に出して」
シャルはそう言うとノクトに聖典の原本と解読書を机の上に移すように指示を出した。
机の上に置かれた聖典の原本と解読書がすぐ近くまで近付くと机の上に独りでに展開する。
魔法陣が展開されると解読書が勝手に拓きページがパラパラとめくれていく。
魔法陣が展開されると次の瞬間解読書は独りでに閉じた。
それと同時に聖典の原本が勝手に開かれた。開かれた聖典の原本は現在から未来が書かれているページが開かれた。
開かれたページに記された暗号が光り出すとノクト達が読める文字に書き換わる。
書き換わる聖典の原本は黙々とページが捲られて聖典の原本の暗号を読める文字へ書き換わっていく。
しばらくすると聖典の原本は最後のページを解読し終えて原本が閉じた。
本が閉じたと同時に机の上に浮かび上がった魔法陣は跡形もなく消えた。
「これで置換は完了よ。現在から未来に書かれている内容が読めるはずよ」
シャルはそう言うと聖典の原本を手に取った。
ノクトはシャルの近くへシャルが目を通していた聖典の原本の現在から未来に記されている事に目を通す。
目を通していくシャルとノクトは未来に起きる出来事に驚きのあまりに目を沖く見開いた。
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