第八話(裏)
「我が眷属よ、準備は良いか?」
魔王は後ろに率いる悪魔達に声をかけると悪魔達は目の前にいる傍観者に目を移す。
「ここは誰にも探知されない空間だ。どれだけ外からお前達を探そうがここには来ることができない」
白銀の空間の中、傍観者は飄々とした口調で魔王達に話しかけると傍観者は手元に魔法陣を展開した。
展開した魔法陣を魔王の方に向けると、魔法陣から白銀の光の砲弾が顕現、射出された。
射出された白銀の砲弾は一直線に魔王の元へ飛んでいくと魔王は構えている漆黒の炎を纏っている聖剣を振るった。
振るった聖剣から漆黒の炎が放たれて飛んでくる白銀の砲弾に衝突する。
漆黒の炎が白銀の砲弾に衝突すると白銀の砲弾を漆黒の炎が包み込む。
漆黒の炎に包み込まれた白銀の砲弾は凄まじい速度で焼かれ蒸発していく。
焼き尽くされていく白銀の砲弾は魔王に衝突する前に漆黒の炎が全てを焼き尽くし跡形もなくなっていた。
「さすがは魔王の炎だ。その炎で私の体をいくつも使い物にならないようにしただけはある」
放った白銀の砲弾を焼き尽くされた傍観者は平坦な声で言葉を発した。
「しかしその炎に触れさえしなければいいだけの話だ。それに——」
魔王と話す傍観者は瞬時に白銀の剣を顕現して自身の背後に構えた。
すると傍観者の背後から甲高い金属音が響き渡った。
「——魔王の陽動を修二に理解して背後から奇襲をかける反応の速さ。流石というべきか、シャルロット」
白銀の剣を背後に構えた傍観者は背後を一瞥した。すると傍観者の背後には剣を斬りつけようとしたシャルが鍔迫り合いになっていた。
シャルは傍観者と視線が合うとすぐに傍観者から距離を取った。
魔王とシャルに挟まれた位置にいる傍観者は白銀の剣を正眼に構える。
「ただし今の攻撃で私を仕留められなかったのは拍子抜けだ」
そう言うと傍観者は白銀の剣を地面に突き刺した。
地面に突き刺した白銀の剣の切っ先から波打つ光の波紋が広がる。
光の波紋が地面に広がると魔王とシャルは傍観者との距離をさらに取った。
光の波紋が魔王とシャルがいた場所まで届くと地面から白銀の鉱物の槍が突き出た。
咄嗟に距離を取った魔王とシャルは元居た場所に突出した白銀の鉱物の槍を見た。
「そんな手の温い攻撃で私達を攻撃してるつもりなの?」
「まさか。今のはこちらの事前準備だ。ただそのおかげでお前達の動きを把握できた」
傍観者はそう言いながら地面に突き刺した白銀の剣を引き抜き正眼に構え直した。
「今度は少し本気で戦うとしよう」