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第十五話(表裏)

 傍観者が手元から魔法陣を展開して白銀の槍を顕現すると、傍観者の姿は忽然と消えた。

 ノクトは傍観者の姿が消えるとすぐに聖剣を床に突き刺した。するとノクトを覆うように漆黒の炎が聖剣を突き刺した部分から噴き出してノクトを覆った。


 ノクトを漆黒の炎が覆ったと同時に傍観者はノクトの背後に突然現れて構えている白銀んオ槍をノクトに向けて刺突していた。

 刺突した白銀の槍がノクトを覆う漆黒の炎に触れると、槍の切っ先がノクトに触れるより前に漆黒の炎に焼き尽くされた。

 槍の切っ先が焼き尽くされると傍観者は構えていた槍を放してノクトから距離を取った。


「もう魔王の使う漆黒の炎を使いこなすとは、やはり魔王の魔力を奪い損ねたのは痛かったな」

「そう思うなら大人しくこの炎で焼き尽くされろ」


 傍観者が少しだけ渋い表情を浮かべるとノクトは平坦な表情で聖剣を床から引き抜いて漆黒の炎を刀身に纏わせた。

 ノクトは漆黒の炎を纏わせた聖剣の切っ先を傍観者に向けると傍観者は再び魔法陣を展開して白銀の双剣を顕現した。


 そして少しの間をおいてノクトと傍観者は同時に地を蹴った。

 互いに間合いを詰め寄ると両者は互いの武器で互いに斬りかかる。

 漆黒の炎が纏った聖剣と白銀の双剣がぶつかり甲高い金属音を上げて鍔迫り合いになる。


 鍔迫り合いになるとノクトは聖剣に纏わせた漆黒の炎を傍観者の体へ奔らせる。

 奔らせた漆黒の炎が傍観者の体に触れる直前、再びノクトの視界から傍観者の姿が消えた。

 傍観者が視界から消えるとノクトは奔らせた漆黒の炎の進行方向を変えた。


 漆黒の炎はノクトの右へ進行方向を変えるとすでに斬りかかろうとした傍観者の白銀の剣に燃え移った。

 傍観者は漆黒の炎が燃え移った剣を手放して距離を取った。


「どうやら、私の動きを先読みできるようになったみたいだな。ノクト」


 傍観者は苦いような、どこか悦んでいるような不気味な笑みを浮かべた。

 ノクトは無表情のまま聖剣を構え直して傍観者を一瞥した。


「そうだとしたらどうなんだ?」


 ノクトは口を開いて傍観者に尋ね返した。

 傍観者はノクトの目を見た。ノクトの両眼には勇者の紋章が浮かび上がっていた。

ノクトが勇者の眼の力を使いこなして傍観者の時間制御能力で次に仕掛ける攻撃を予見している事を悟った。


「いや、今のノクトなら前と違って戦いを楽しめそうだ」

「一つ忘れてるようだが、お前の相手は俺だけじゃない」


 ノクトはそう言うと魔法陣を展開せずに魔術を発動する。

 魔術が発動すると傍観者の足元の床が無名のように粘性のある液状に変化した。


「⁉」


 沼に足を取られた傍観者は徐々に脚を沼状に沈みこまれていき身動きが取れなくなっていく。


「この沼は魔術や神聖術を封じる力がある。お前がいくら時間制御を使おうとしても沼に足を取られている限り魔術も神聖術も使えない」

「⁉」


 ノクトはとても平坦な言い方で傍観者に説明すると、漆黒の炎を纏った光の剣が傍観者の背後から心臓を貫いた。


「さすがノクト様です」


 背後から傍観者を光の剣で貫いた悪魔はノクトを一瞥した。


「……これしきの、攻撃で……私が死ぬとでも……思っている……のか……?」


 傍観者は口元から血を吐き出しながら絞り出すような声を発した。


「まさか、これだけで死ぬなんて思ってません」


 ノクトの背後から声がすると、傍観者の頭上から幾何学的な文様が浮かび上がる。ノクトの背後にはシルフィー、ラザフォード、ファルコが聖剣を構え同時に聖剣術を発動する構えをしていた。

 傍観者の心臓を貫いた悪魔はすぐに光の剣を手放して傍観者から距離を取った。


 悪魔が傍観者から距離を取ると同時に頭上に浮かび上がった文様から光の奔流が降り注ぐ。

 三人分の聖剣術の光の奔流に呑み込まれると傍観者は断末魔を上げて体中を焼き尽くされた。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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