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第十三話(表裏)

 漆黒の空間が広がる視界。

 ノクトはぽつんと漆黒の空間に立っていた。


「今度は何の用だ?魔王?」


 ノクトが漆黒の空間の辺りを見回しているとノクトの視界に魔力の塊が現れた。

 人の形をした高濃度の魔力の塊——魔王は真正面にいるノクトを見た。


『察しが良くて助かる。ノクト』


 魔王は頭の中に直接届く声でノクトに語り掛けた。


『我の眷属が新たに傍観者の根城を発見した』


 魔王が口にした言葉にノクトは目を大きく見開いた。


「それは本当なんだろうな?」


 ノクトは魔王に真偽を確認する。


『本当だ』


魔王はノクトの審議の質問に肯定の意をと伝えた。そして魔王は続けざまに言葉を発した。


『発見した傍観者の根城は二つ。我らはその一つを潰しにかかる。ノクト達勇者はもう一つの根城を頼みたい』


 魔王は二つあるうちの一つの根城を潰すように依頼するとノクトは口を開く。


「それはいいが、悪魔と勇者が二手に分かれて大丈夫なのか?」


 ノクトは魔王に懸念点を尋ねた。

 以前傍観者と戦った時、魔王がいなければ傍観者を討つ事はできなかった。その後の傍観者と勇者との戦いも悪魔達との戦闘の後で隙が生じて居なければ勇者達の力のみで討つことはできなかった。

 それを踏まえても二手に分かれて二ヵ所同時に攻め込む事にノクトは難色を示した。


『確かにノクトが懸念するのも分かる。だがノクト自身気付いているはずだ。我の魔力を吸収して適応したノクトの体は我の力と拮抗する程強大になりつつある。この前よりも格段に強くなっているのは実感できているはずだ』


 魔王はノクトの体を隈なく見てノクトの体の変化に目を通す。

 つい先日魔王の魔力を吸収したノクトの体は魔王の魔力と完全に適応している。

 今の魔王の力に近付いているのはノクトにも薄々だが理解できていた。


「それはそうだが、万が一のことも想定するべきだ。敵が一人である確証はない」


ノクトは懸念点を興梠するべきと魔王に忠告すると魔王は『それもそうだな』と言葉を返す。


『そうなってしまえば我らが返り討ちに遭う可能性もある。そうであるなら我の眷属の数体を勇者側に回す』


 魔王の言った言葉にノクトは渋い顔を浮かべた。


『もちろん、シャルロットは我らの軍勢として入れる。シャルロットの心配は不要だ』

「そうじゃない」


 魔王の言葉にノクトは口を挟んだ。


「俺が心配なのは二手に分かれて戦う事だ。なんで二手に分かれる必要がある?」


 ノクトは至極真っ当な事を口にした。

 相手の戦力が図れない時点で軍勢を二手に分けるのは愚策なのはノクトでも分かる事だ。

 それにもかかわらず魔王は二手に分かれて行動する事を強行している。

 それがノクトが顔を渋くした理由だ。


『それには意味がある。まず我らは互いの思念を教っ有して互いの居場所を特定できる。そして転移魔術を使う事ができる。二手に分かれていても互いの場所へ移動できる限り二手に分かれてもすぐに加勢できる』


 魔王は悪魔達の仕組みを知ると魔王が二手に分かれても構わない理由が理解できた。

 悪魔の使う転移魔術は他の魔術師が使うものより迅速で長距離を移動できる。そうなれば両方の軍勢が不利になっても片方の軍勢が稼いで着れば問題ない事もある。もし両方の軍勢が揃っても多が出なければすぐに撤退できる。


 その手があればどこまで敵の数を考えなくても大丈夫なわけだ。


「分かった。まずは他の勇者三人にこの事を伝える。納得してもらえたら折り返して報告する」

『助かる。ノクト』


 ノクトに貨車を伝える魔王は漆黒の空間の中で振り返った。


『ではまた今度だ、ノクト。補遺報告を待っている』


 そう言うと魔王は火力の体が薄くなっていき漆黒の空間から姿を消した。

お疲れ様です。

本日も読んで下さり誠にありがとうございます。

これからも投稿指定金すので良ければ次話も読んで下さい。

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