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第六話(表裏)

 光の柱からノクト達が現れるとそこは地面や周りに生えている木々がへし折れた異常な光景の場所だった。


「そちらから姿を現すとは思わなかったぞ。勇者」


 荒れ果てた場所の中央に立っている傍観者は勇者四人の方を見て話しかけた。

 話しかけられた勇者達は言葉を返さずに腰に帯剣している聖剣を抜剣して敵意を示した。


「私と戦う気か?前の戦いでは力の差を感じたはずだが?」


 傍観者は勇者を見ながら平坦な声で尋ねた。

 傍観者の質問に聖剣を構えた勇者達は一切答えなかった。代わりにファルコが聖剣の切っ先から聖剣術の光線を照射した。

 照射された聖剣術の光線は目に追えない程の速度で傍観者の胴体を貫いた。


 ファルコは傍観者の胴体を貫通した聖剣術の光線を切っ先の向きを変えて胴体を切り裂いた。

 切り裂かれた胴体から血が噴き出して足元には血溜まりができていた。切り裂かれた胴体は地面に転がると突如、時間が巻き戻されたような動きでバラバラになった胴体が正しく接着されていく。

 胴体が元に戻ると傍観者は元に戻らなかった白装束の服を振れた。


「まだ理解できてなかったのか?私の体を切り刻もうが私は死なない。だからお前達に勝ち目はない」


 ファルコの攻撃を受けた傍観者は何一つ顔色を変えずに勇者達に話を続けた。


「それはこれから判断して下さい」


 傍観者の話を先に断ち切ったのはシルフィーだった。

 シルフィーは聖剣術の盾で傍観者の周囲を囲った。

 聖剣術の盾に囲まれた傍観者は溜息を吐いた。


「その手は以前無駄だと体感したはずだが?」


 傍観者の言う通り、以前の戦いでシルフィーの聖剣術の盾で包囲した時にいつの間にか脱出された。

 その事を分かっているのか傍観者は以前と同じ事をしたシルフィーに対して尋ね返した。


「分かっています。私も無駄だと分かって同じ手を打つ馬鹿な真似はしません」


 尋ね返された言葉にシルフィーは聖剣を構えて傍観者に言葉を返した。

 シルフィーの言葉を聞いた傍観者は少しだけ眉根を釣り上げた。

 傍観者は囲われた聖剣術の盾に触れると指先から火花が散った。


「なるほど。どうやら私がこの盾の包囲から抜け出したタネは割れたみたいだな」


 傍観者は口角を上げて前言を撤回した。

 以前、傍観者は聖剣術の盾から抜け出した方法は時間を止めている間、聖剣術に干渉してすり抜けたのだ。

 しかし今回の聖剣術の盾は傍観者に一切干渉される事がなかった。


「私達はあなたがいつ攻めてきてもいいように対策を立てました。以前のように易々と倒されると思わないで下さい」


 シルフィーの真剣な言葉に傍観者はさらに口角を上げた。


「だったらそれを証明して見せろ」


 傍観者は指先から火花が散っている聖剣術の盾に両手で触れた。

 手元から散っていく大量の火花をお構いなしでシルフィーの聖剣術の盾を振れた。

 傍観者が聖剣術の盾に触れた部分から小さな亀裂が入ると、亀裂は聖剣術の盾を侵食して聖剣術の盾のあちらこちらに亀裂が伸びていった。

 シルフィーは苦い顔を浮かべて包囲している聖剣術の盾の外側から覆い被すように新たな聖剣術の盾を包囲した。


「三人とも。準備はできましたか?」


 シルフィーは他の勇者を一瞥すると勇者三人は構えている聖剣に意識を集中していた。

 聖剣から神々しい力が溢れ出すと勇者三人は揃って構えた聖剣を地面に突き刺した。

 地面に突き刺さった聖剣から光が伝播していくと足元に神々しい文様が刻まれた。

 それと同時に傍観鞘の足元から不可思議な文様が描かれた。


 不可思議な文様が傍観者の足元に描かれると何重にも文様がちゅに浮かび上がり上空の太陽まで展開していく。

 太陽に向かって展開された文様から光の奔流が生まれると地面に描かれた文様に向かって放たれた。

 放たれた光の奔流は幾重にも展開された文様を通過するごとに勢いを増していき包囲された聖剣術の盾に向かって降り注ぐ。


 聖剣術の竪琴呑み込んンだ光の奔流が地面にぶつかると、目の前を眩く照らした。

 シルフィーは聖剣術の盾を消失させると同時に光の奔流の中央から凄まじい爆発音が轟いた。

爆発音と共に巻き上がった爆炎にシルフィーは咄嗟に聖剣術の盾を目の前に顕現して勇者達の身を守る。

 光の奔流が収まると目の前の地面は雨のように舐め融かされて赤熱していた。

 三人がかりの聖剣術の攻撃を受けた傍観者の姿は見当たらなかった。


「だから言ったのです。今までと同じ轍を踏む事はありません」


 聖剣を鞘に納剣したシルフィーは傍観者が目の前から跡形もなく消えた後に呟いた。

 完全に消しとんた。ここにいる全員がそう確信した。

その直後——


『私としたことが器をこうも容易く破壊されるとは』


 どこからか聞こえる声に耳を傾けた勇者達は周囲を警戒する。


「さすがに体を消し飛ばした程度ではあなたを消滅できませんか」


 どこからか聞こえた声にシルフィーはすぐに傍観者の声だと察する。


『まあいい。器は壊されてしまったが今の勇者の力が把握できたことだけでも良しとしよう』


 傍観者の声が徐々に消えていくと傍観者の気配が完全に消えた。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので避けれb次話も読んで下さい。

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