第一話(裏)
「これで終わりだ」
聖剣の切っ先から放たれた漆黒の炎は地を這い目の前の人物を呑み込んだ。
漆黒の炎に呑み込まれた人物の体は再生される速度よりも早く体を焼かれていき灰へと変貌していく。
断末魔と共に漆黒の炎に呑み込まれた人物は跡形もなく灰一つ残さずに燃え尽きた。
「お疲れ様でした魔王様」
漆黒の炎を放った聖剣を握っている少女——魔王に悪魔は話しかけた。
「これで三体目。着実に数を減らせているはずです」
先程話しかけた悪魔とは別の悪魔が現れて魔王に話しかけた。
「無事だったかプサイ、ガンマ」
魔王は話しかけてきた悪魔達——プサイとガンマに無事であったことに安堵した。
「はい。ですがシグマ、デルタ、パイが灰化してしまいました」
「三体はただいまイプシロンの手で我々の根城に戻って復活の儀を執り行っています」
プサイとガンマが残りの悪魔達の状況を伝えると魔王は「そうか」とだけ返事を返した。
「だがそのおかげでここにたどり着いた」
魔王は振り返って目の前の方に目を向けた。
無数にある本棚が壁にすらりと並び天井がはっきり見えない吹き抜けの造りの建物の中に魔王と悪魔がいた。
魔王の視界に映るのは無数にある本棚の中の密集している本たちの中でもとりわけ古い書物だった。
「やはりここにあったのか」
魔王は浮遊魔術で宙に浮き視界に映ったとりわけ古い書物のところへ飛んでいく。
飛んでいった魔王は聖剣を鞘に納めて本棚の中から古本を手に取った。
魔王は古本を手に取ると古本の中に目を通した。
「やっと見つけたぞ。聖典の原本」
本に目を通した魔王はわずかに口角を上げた。
目を通して行く魔王は続けざまに聖典を読み進めた。
「なるほど、そういう事か」
魔王は聖典の原本を読み進めると納得したような声が漏れた。
「これなら筋が通る」
魔王は目を通した聖典の原本を閉じると懐に締まった。
そして魔王を含め悪魔達は黒い炎に包み込まれ多と肩もなく姿を消した。
お疲れ玉です。
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