第四十二話(表裏)
天井が砕けると塔の頂上は吹き抜けて空が映った。
空はすでに茜色に染まっていた。
「助かったようだな。皆の者」
魔王は周囲にいる者達を見渡して全員無事である事を確認した。
「えぇ、助かりました」
シルフィーは魔王を見て助けてくれたお礼を告げた。
「ほう。勇者から礼を言われるとは思わなかったぞ」
「今まで敵だった魔王であっても今回の事は感謝するべきだと思ったまでです」
魔王の冗談めいた言葉にシルフィーは真面目に答えた。
「それより塔の中に聞こえた声が途切れたようだが、いったいあいつは何者なんだ?」
塔の中から聞こえていた声が天井を壊してから途端に聞こえなくなる。その事にノクトは不審に思った。
「それなら声の主は天井の輝きが炎に呑み込まれる前に塔から去っていった」
塔の中の声が聞こえなくなったことに不審に思っていたノクトに魔王は声の主が去っていた事を伝えた。
「では我々はここから去る。最後に忠告だ——」
魔王は勇者四人の方を見て忠告を口にする。
「——これから我々と手を組むか、今まで通り仇名すか。考えておく事だな」
忠告を口にした途端、魔王と悪魔達は黒い炎に包まれた。
包まれていく黒い炎に呑み込まれた魔王と悪魔達は炎が消えると魔王達の姿は跡形もなく消えた。
「ようやく悪魔達が消えましたね」
悪魔達が姿を消すとファルコはシルフィーの元へ歩き出した。
「そうだな、それにここから抜け出せるようになったしな」
ファルコと共にシルフィーの元に歩み寄るラザフォードは聖剣を構えて塔の壁に向かって聖剣術を放った。
放たれた聖剣術の炎が塔の壁に衝突すると黒煙と共に爆風が吹き荒れた。
吹きえれた爆風が落ち着くと聖剣術の炎に衝突した壁は粉々になり穴が開いた。
「それじゃあ俺達もここから退散しよう」
ノクトはラザフォードが開けた壁の穴に向かって歩き出した。
そして他の三人もラザフォードの空けた穴から塔の外へ出た。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。