第二十八話(表裏)
白装束の人物が高らかな声を上げるとノクトとシャルは武器を構えた。
次の瞬間、白装束の人物の姿を消した。
シャルはすぐに背後を振り返り槍を刺突の構えをする。すると背後には既に魔術による雷撃を放つ寸前だった。
《時間停止》によって既に背後に回っている白装束の人物が雷撃を放つとシャルは咄嗟に槍の先端から光の球を放とうとするが、シャルの魔術よりも早く白装束の魔術が放たれた。
「ッ⁉」
白装束の人物の雷撃がシャルに命中するとシャルは苦悶の表情を浮かべた。
ノクトは白装束の人物とシャルの交戦を見ると、ノクトはすぐに聖剣を構えた。
その時には既に白装束の人物の姿はなかった。
ノクトの視界から白装束の人物が消えた直後、ノクトはすぐに右側を見た。
視線を変えた先には既に白装束の人物が風の魔術を展開していた。
ノクトは咄嗟に聖剣に纏う聖なる気を壁のように展開して白装束の人物の放った風撃を防いだ。
だが一足遅かった。
ノクトの聖なる気の盾に展開するよりも一瞬早く白装束の人物の風撃の方が発動した。
白装束の人物の風撃は展開しきっていない聖なる気の盾を貫きノクトに風撃をぶつけた。
風撃を喰らったノクトは風の衝撃で吹き飛ばされた。
風撃で吹き飛ばされたノクトはすぐに体勢を立て直そうとするが床に膝を付いた。
聖なる気の盾のおかげで風撃の衝撃を削いだが完全に衝撃を殺せなかったためノクトの体中に打撲による鈍痛が奔った。
膝を付いたノクトは鈍痛を噛み殺し膝を付いた床から立ち上がった。
「どうした?お前達の威勢はこんなものか?」
白装束の人物はシャルとノクトを一瞥すると不敵な笑みを浮かべた。
不敵な笑みを浮かべた白装束の人物にシャルとノクトは鋭い眼光を向けた。
すると白装束の人物は再び視界から姿を消した。
ノクトはすぐに頭上へ視線を移すと、白装束の人物がノクトの頭上に移動して雷撃を放つ準備が整っていた。
白装束の人物が雷撃を放つとノクトはすぐに聖剣術の聖夏樹を雷撃に向けて放った。
雷撃と聖なる気が衝突すると閃光が広がり周囲を真っ白に染めた。
反射的に瞼を閉じたノクトは眩い閃光から目を守るとノクトの鳩尾に鈍痛が奔った。
ノクトは鳩尾に広がる鈍痛に苦悶の表情を浮かべて蹲った。
ノクトのすぐ目の前には拳を握っている白装束の人物が立っていた。
ノクトは鈍痛に耐えながら目の前の白装束の人物に聖剣で斬りかかった。
聖剣が白装束の人物を斬る寸前、白装束の人物は消えていた。
それに気付いたシャルはすぐに構えている槍を背後に刺突する。
刺突した先には白装束の人物が雷撃を放つ準備をしていた。
シャルが白装束に人物を刺突するよりも一瞬早く雷撃がシャルに命中した。
雷撃を喰らったシャルは再び苦悶の表情を浮かべて膝を付いた。
「この程度で死ぬなよ。私をもっと楽しませてくれ」
膝を付くノクトとシャルに白装束の人物は見下すような視線を向けた。
「……これで勝ったとは思わない方がいいわ」
膝を付いたシャルは含みのある笑みを浮かべて白装束の人物を見た。
白装束の人物がシャルの言葉に眉を顰めると目の前のシャルが霞のように霧散していく。
お疲れ様です。
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