第二十七話(表裏)
姿を現したシャルは手元に一本の槍の持っていた。
「やっと悪魔側の大駒がお出ましか」
白装束の人物はシャルを見ると今まで以上に機嫌よい声音で言葉を発した。
「まあ、精々私の暇つぶしに付き合ってもらおうか」
「先に謝っておくわ。あなたの暇つぶしを楽しませる気はさらさらないの」
白装束の人物の言葉にシャルは謝罪を告げると手に持っている槍を構える。
「まさか、今まで敵だったシャルと手を組むとはな?」
「本当ね。けど手を組むのはこれが最初で最後よ」
「それでいいさ」
ノクトとシャルは互いに苦笑気味に言葉を交わした。そしてノクトは聖剣を構え直す。
ノクトの聖剣に聖なる気が纏い出すと、ノクトは白装束の人物へ駆け寄った。
白装束の人物は駆け寄ってくるノクトに雷撃を放つとシャルは槍の先を白装束の人物に向けた。
槍の先からバチバチと火花が散るとシャルは槍の先から生成された光の球が白装束の人物に飛んでいった。
白装束の人物の雷撃とシャルの光の球が衝突すると光の奔流が起きてこの空間中に閃光が広がった。
閃光で目の前が真っ白になる中、白装束の人物は咄嗟に目を塞いで目を守る。
白装束の人物がすぐに目を開き目の前に近付くノクトを見ると、目の前にいたはずのノクトは姿を消していた。
白装束の人物はノクトが目の前から消えるとすぐに周囲の気配を感じ取る。すると白装束はすぐに自身の背後を振り返った。
白装束の人物が振り返った先には既に聖剣で斬りかかる体勢に入っているノクトが視界に映った。
ノクトが聖剣で斬りかかると白装束の人物はすぐに風の魔術で風の結界を張った。
風の結界によって斬りかかった聖剣は白装束の人物の体に触れる寸前止められた。
止められた聖剣から聖なる気が奔流すると風の結界を削いでいく。
白装束の人物の風の結界が削がれたところにノクトの聖剣が食い込んでいき壁の結界を貫いた。
貫いた聖剣は白装束の人物の肌を掠めた。聖剣が掠めた白装束の人物の肌から血が滴っていく。
ノクトはすぐに白装束の人物から距離を取ると、白装束の人物はノクトとシャルを一瞥する。
斬られた肌に触れると白装束の人物は口角を上げた。
「シャルロット。お前の言葉は外れたよ。初めて傷を付けられた。今までにない高揚感だ」
白装束の人物は言葉通り気持ちが高揚しているようで口にしている言葉には愉悦の音が籠っていた。
「だがまだ足りない!もっと血が煮え滾るような感覚を味わいたい!もっと私を楽しませてくれ!」
白装束の人物は体声高らかにノクトとシャルに告げた。
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