第二十四話(表裏)
平坦な声を発した白装束の人物の周囲に聖剣術の盾が囲むように顕現された。
シルフィーはいつの間にか聖剣術を発動して盾で白装束の逃げ道を遮った。
「ノクト!」
シルフィーがノクトの名を呼ぶと、ノクトは構えている聖剣が纏う聖なる気を白装束の人物へ放った。
逃げ道のない白装束の人物はノクトの放った聖剣術が必中する。
そう思った瞬間、シルフィーの聖剣術の盾に覆われて逃げ道のないはずの白装束の人物が周囲を囲っていた聖剣術の盾から姿を消した。
ノクトの聖剣術が命中する寸前に姿を消した白装束の人物はいつの間にかシルフィーの聖剣術の盾から少し離れた場所に移動していた。
ノクトの聖剣術が空を切ると、白装束の人物はノクトとシルフィーの方を見た。
「だから言っただろう?その程度では私には通用しないと」
聖剣術が必中したと思っていたノクトとシルフィーは白装束の人物の動きに驚愕した。
確かにシルフィーの聖剣術の盾で囲い込み閉じ込めた。逃げ道など見当たらなかった。
それにも関わらず白装束の人物は瞬く間に閉じ込められた盾の牢獄から抜け出してノクトの聖剣術を避けた。
ノクトの眼から見ても白装束の人物が転移魔術の類を使った仕草は一切なかった。
「どうした?さっきまでの威勢はどこに行った?」
シルフィーとノクトだけでなく先程の連携をいともたやすく躱した底が知れない白装束の人物に驚愕した。
「そちが動かないなら、今度はこちらから行くぞ」
そう言った矢先、白装束の人物は再び視界から一瞬で姿を消した。
ノクトは周囲の気配に集中すると、ノクトの背後から殺気を感じた。
ノクトはすぐに背後を振り返るといつの間にか白装束の人物が背後に回り込んで蹴りの体勢に入っていた。
白装束の人物が蹴りを食らわそうとした寸前、ノクトはすぐに受け身の体勢を取って白装束の人物の蹴りの力を削いだ。
受け身を取ったノクトは白装束の人物の蹴りを喰らい蹴り飛ばされるがすぐに体勢を立て直した。
「いい反射神経だ」
白装束の人物の蹴りを喰らってすぐに体勢を立て直したノクトの背後にはいつの間にか白装束の人物が立っていた。
ノクトは反射的に再び受け身の体勢を立てるが、ノクトが受け身を取る前に白装束の人物は回し蹴りを喰らった。
「⁉」
受け身を取る直前に白装束の蹴りを喰らったノクトは遠くへ蹴り飛ばされた。
受け身を取る前に回し蹴りを喰らったノクトは受け身を取れないまま地面に転がった。
「受け身を取る前に蹴りを喰らったのだ。これは痛いだろう」
白装束の人物の言う通りまともに受け身を取れなかったノクトに伝わった痛覚は先程よりも強烈だった。
蹴りを喰らったノクトは蹴られた箇所に滲む鈍痛に歯を食いしばって堪えながら立ち上がった。
「さっきの蹴りを喰らってまだ立ち上がれるとは。普通の人間なら骨の数本は砕けて立ち上がれないはずなのだが、さすがは魔王の子孫と言ったところか」
白装束の人物はどこか愉快そうな声音で蹴りを喰らったノクトに話しかける。
そんなノクトは骨が折れていないものの蹴りを喰らった箇所には鈍痛が奔っていた。
お疲れ様です。
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