第二十三話(表裏)
白装束の人物が突き飛ばしたイプシロンは地面に転がると突きを喰らった鳩尾が灰化していた。
突き飛ばされたイプシロンを見た他の悪魔達は灰化していくユプシロンとイプシロンの姿に絶句していた。
本来悪魔は聖剣術以外の攻撃では一切灰化することがない。
しかも勇者が使用する聖剣術でなければ悪魔に止めを刺せない。
その上勇者ではないはずの白装束の攻撃を喰らったユプシロンとイプシロンは体が灰化していって今にも消滅してしまいそうだった。
「私を相手にして勝てるとと思わない事だ」
その場で立ちつくす白装束の人物は悪魔達やノクト達を視界に映した。
その眼の奥には凍てつくまでの冷たく冷酷な輝きをはらんでいた。
白装束の人物がこの空間にいる侵入者たちを視界に映していると、その中の一人が青い炎の球をいくつも白装束の人物に向けて放っていた。
ラザフォードは聖剣を抜剣して聖剣術を発動していた。
飛んでくる青い炎の球に対して白装束の人物の目の前に水の壁が隔たれた。
水の壁に衝突する青い炎の球は水蒸気を上げながら水の壁を貫こうとするが、水の壁はさらに厚さを増していきラザフォードの放た青い炎の球全てを防ぎ切った。
水の壁が床に落ちていくとすでにファルコが聖剣術を発動して光の槍を顕現して白装束の人物へ放っていた。
眼前に迫りくる光の槍に白装束の人物に躱す手立てがない。
そう思っていると白装束の人物の姿が忽然と消えてファルコの放った光の槍は空を過ぎ去った。
「先に放った炎球は私に防がせて目隠しさせる陽動で、光の槍が攻撃の本命か。なかなかの連携だ。だが——」
忽然と姿を消した白装束の人物の声がラザフォードとファルコの傍から聞こえると、ラザフォードとファルコを吹き飛ばす衝撃波が吹き荒れた。
衝撃波に巻き込まれたラザフォードとファルコは元々立っていた場所からかなりの距離まで吹き飛ばされた。
衝撃波が発生した場所を見るとそこにはいつも間にか白装束の人物が立っていた。
「——その程度では私には通用しない」
白装束は周囲にいる悪魔達やノクト達に平坦な声で言葉を発した。
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