第二十七話
「駒風情のお前達が私をペテン師呼ばわりか」
塔の声は鼻で笑うような声音でノクトの言葉に反応した。
「その気概だけは認めてやろう。だがこいつ相手にまだその口が利けるか見ものだ」
塔の声がそう言うとノクト達が破壊した塔の壁は時間が巻き戻るように修復されていった。
壁が修復しきると塔の中の景色が陽炎のように揺らぎ始めた。
揺らぐ景色が収まるとそこは先程までいた塔の中ではなく赤熱する岩場と溶岩が流れる景色が広がった。
「ここは?」
ノクトは景色が一変して周囲を見回しているとシルフィーは溶岩が上流に視線を向けた。
「あれを見て下さい!」
シルフィーは何かを見つけたらしく三人に声をかけた後すぐに何かを指差した。
シルフィーが指差した先には溶岩が溢れ出す山の頂があった。
頂にいたのは流れる溶岩のように赤黒く赤熱する溶岩のような刺々しい鱗に覆われた四枚の羽根を持つ竜がノクト達を見ていた。
「まさか翼竜のいる場所へ転移させられるとは」
「あの声の主はいったい何者なんだ?」
翼竜を見てラザフォードとファルコはここに転移させた塔の声の主に驚きを隠し切れなかった。
「それよりあの竜、こっちに目を向けたままうなり声を上げてるが、大丈夫なのか?」
ノクトはシルフィーが指摘した竜がこちらを見ながら威嚇するようにうなり声を上げている事が気になった。
「翼竜は縄張り意識が高いですが、こちらから攻撃をしかけない限り襲ってくるような危険な生物ではありません」
警戒していたノクトにシルフィーは翼竜の生態を説明して今の状況では危険ではない事を伝えた。
『そう思っていられるのも今の内だぞ』
その声が聞こえた時にはノクト達の背後から放たれた光線が翼竜の方へ照射された。
照射された光線は翼竜の足元に衝突すると翼竜の足元の岩場が爆発した。
「誰だ!」
ラザフォードが光線を照射した相手に対して叫ぶとノクト達は光線が照射された方向を振り向いた。だが光線の勝者先には誰もいなかった。
『私に気を取られていいのか?先程の光線で山の頂の翼竜は怒り心頭だぞ?』
声の主は塔の中に聞こえてきた声と同一人物と気空いたときにはすでに手遅れだった。
山の頂に鎮座していた翼竜はノクト達を威圧的な鋭い視線を向けていた。
どうやら先程の光線をノクト達が放ったのだと勘違いしているようだった。
「チッ!余計なことしやがって!」
ラザフォードは舌打ちをして現状に渋面した。
ノクト達を威嚇していた翼竜は凄まじい雄叫びを上げた後口から炎をを吐き出して四枚の羽根を大きく広げた。
「まずいです!翼竜が完全にこちらを敵だと誤認しています!」
シルフィーは翼竜の怒りを露わにした様子を見て驚愕していた。
『あの翼竜を殺さない限り元の場所に戻れない。精々力を合わせて殺すのだな。ただし、翼竜一匹だけであればな?』
声の主が不穏な事を言った直後、翼竜は再び雄たけびを上げた。
先程とは違いノクト達を威嚇する雄叫びではなく、上空に向けて雄たけびを上げていた。
すると雄たけびを上げた翼竜の元へ上空から大きな影が三個現れた。
三個の影は徐々にその姿を現ししていく。
雄叫びを上げている翼竜と同じ赤黒い刺々しい鱗に四枚の羽根を持つ竜の姿がノクト達の視界に現れた。
現れた翼竜達は顎を大きく開いて口元から奔流する光を吐き出した。
「嘘だろ!」
翼竜達が吐き出した奔流する光はノクト達に向かって放たれた。
シルフィーは咄嗟に聖剣を抜剣して聖剣術を発動した。
聖剣術の盾が顕現すると翼竜が放った奔流する光は聖剣術の盾に衝突すると聖剣術の盾に遮られて盾の脇から流れて言った。
翼竜の吐いた光が途切れると遮っていた光は消え去り顕現した聖剣術の盾の実が目の前に残った。
聖剣術の盾の脇に泣かれていった光に触れた地面は舐め融かされた飴のようにドロッと融けていた。
「翼竜達は私達を敵と認識してしまいました。他に仲間を呼ばれる前に何とかしないとこちらが全滅してしまいます」
シルフィーは余裕のない表情で敵と認識された翼竜を見ながら三人へ伝えた。
「一匹に対して一匹を相手するとなるとかなり危険ですね。でもあの声の言う通りであればあの翼竜達を殺さない限り元の場所に戻れないとなると否が応でもやるしかないですね」
ファルコは渋面そた表情を浮かべて腰に携えた聖剣を抜剣した。
「やるしかないか」
「一人一匹が相手する。できるだけ個別に分断して戦うぞ」
ノクトは息を吐いた後ラザフォードとノクトは聖剣を抜剣した。
お疲れ様です。
本日も読んでいたっ抱き誠にありがとうございます。
これからも投稿していくので良ければ次話も読んで下さい。