第十一話(裏)
悪魔達はそれぞれ幾重にもある壁に取り付けられている鉄扉の取っ手を掴み開いた。
開いた鉄扉の奥には明かりが灯っていない暗がりの通路が続いていた。
悪魔達はそれぞれ開いた鉄扉の奥へ入ると、開くのに重量があって開けるのに一筋縄では開かなかった鉄扉が独りでに閉じた。
「なるほど。私達を個別に分断しましたか」
鉄扉が閉じると悪魔の一体——イプシロンは鉄扉が閉じて暗闇の通路に閉じ込められるとイプシロンは掌から魔法陣を浮かべると手を床に付けて魔法陣を床に展開した。
「ですが、私達を舐め過ぎですね?」
床に魔法陣が浮かび上がると魔法陣から黒の火柱が上がった。
魔法陣から立ち上がった黒の火柱はすぐに人型に形状が変化していき、すぐに黒の火柱が悪魔独特の黒の外套へ変わった。
「来てくれましたね。イータ」
「待ちくたびれましたよ。イプシロン」
イプシロンが呼び出したイータは周囲が暗闇の中イプシロンを見て話をした。
「すみませんが今は敵の懐の中です。十分気を引き締めて下さい」
「イプシロンが言わなくても分かります。この空間、敵の意志で制御できるようにされてます」
イータは辺りを見回すと先程まで暗闇で周囲が見えなかった空間が急に白銀の世界に変貌した。
見渡す限りの雪山に転機は極寒の吹雪が富貴恵れる白銀の山岳地帯に移動したイプシロンとイータは上空を仰いだ。
上空には何やら吹雪ではない白い塊が動き回っていた。
「なるほど、敵も本気で私達を滅ぼす手があるとは」
吹雪の中上空を飛んでいたシロの塊には四枚の翼があり体中の表面には光を反射する美しい鏡のような鱗が密集していた。
「別空間に繋がる鉄扉の先が氷翼竜の住処とは、イプシロンも貧乏くじを引きましたね?」
イータは空を飛んでいる比呂の塊——氷翼竜を見ながらイプシロンの籤運のを愚痴った。
「ですが、今はそんなことを言っているよりもあの竜を始末する方が先です」
「そうですね。元の空間に戻るにはあの翼竜は邪魔でしかないですからね」
そんな会話をしていたイプシロンとイータは自身の手から光の剣w顕現した。
イプシロンとイータが光の剣を顕現すると空を飛んでいた氷翼竜は地上から殺気を感じ取り地上を見下ろした。
氷翼竜がイプシロンとイータに視線があると、氷翼竜は威嚇交じりの視線と咆哮を放った。
すると氷翼竜は咆哮した口から奔流する光の奔流を吐き出した。
吐き出された光の奔流をイプシロンとイータは躱すと、躱した雪が積もった足場に歯巨大な氷柱が地面から突如突出した。
「どうやら縄張りに踏み込まれたのがよほど怒っているようですね」
「これなら龍を巻いて逃げるという手は使えなくなりましたね。仕方ないですが本気で殺すしか策がないです」
イータは攻撃を仕掛けた氷翼竜が咆哮を上げて威嚇をする姿に、易々と逃がしてくれない事を悟るとイプシロンは握っている光の剣の切っ先を向けた。
「イータあなたは後方から遠距離魔術で攻撃して下さい。私が遊撃します」
「分かりました。くれぐれも《氷翼竜の吐息》に触れないよう気を付けて下さい。イプシロン」
悪魔二体が作戦を立てると再び氷翼竜は攻撃を仕掛けた。
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