第九話(裏)
『……弾かれたか』
魔王はノクトと精神世界で再会したと思ったら突如、ノクトと精神を繋いでいた何者によってノクトとのつながりを断ち切られた。
『だが脚は掴んだぞ』
魔王はそう呟くと魔力のみの体から自身の魔力とは異なる波長の魔力が手元にあった。
魔王は精神世界でノクトと繋がっていた時に割り込んできた声の主の魔力を感付かれないように回収していた。
魔王は回収した魔力を握ると握られた手から魔法陣が浮かび上がり魔王の部屋全体に展開される。
展開された魔法陣の中心から先程まで魔王が掴んでいた魔力が現れると、魔王が握っていた魔力は徐々に形を変えて人型に変わっていく。
人型に変わっていった魔力は魔王の目の前で対峙した。
『まさかここまで早く再会するとはな。魔王?』
魔王が展開した魔法陣の上で形成された人型の魔力は魔王と向かい合うとどこか上機嫌な口調で話し出した。
『足が付くとは思わなかったぞ。流石は魔王といったところか。だが私と間接的に会話するためにわずかな私の魔力を使うとは甘い判断だ』
『お主がどう思うかはどうだっていい。我の邪魔をするのであれば誰だろうと滅ぼすまでだ』
『ほう?その口ぶりを聞く限り私の居場所を知っているようだな?』
『あぁ、すでにお前のいる場所に我の眷属が向かっている。これで戯れはおしまいだ』
精神世界で話していた声の主は先程よりも更に上機嫌な口調で魔王に話した。
声の主が上機嫌になると反比例するように魔王の口調から機嫌が損なわれていくのが分かる。
『私の魔力を掴んですぐに悪魔を私の元へ出撃させた判断は褒めてやるが、私に悪魔五土岐で相手になると思っているのか?』
上機嫌に話していた声の主は一瞬口調にとげとげしい雰囲気がはらんでいた。
『我の眷属を甘く見ては困る。それにお主の元へ向かった我の眷属は我の意志ではなく自ら鉄砲玉になる事を進んで担った』
一瞬見せた不機嫌の兆候に魔王は矢継ぎ早に話し返した。
『それに時期に我は復活する。そうすればお主の戯れは終焉を迎える。お主の思い通りになると思うなよ』
声の主が見せた不機嫌の兆候のすぐあと、魔王の口調はどこかやり返したような愉悦を感じる口調だった。
『そうか。だが忘れるな。魔王。今この世界を動かしているのは私だ。その一つの駒に過ぎないお前は私に適うと思わない事だ』
声の主は先程までの上機嫌な口調ではなく、不機嫌極まりない声音に変わっていた。
そして展開していた魔法陣が徐々に収縮していく。
『最後に言っておく。お主が戯れで造ったこの世界は我が正しい方向へ導く。精々我らに寝首を掻かれない事だな?』
収縮する魔法陣の上で朧で二消えていく声の主の魔力は霧のように散り散りになっていく。
『なら私は駒の一つであるお前を叩き潰すまでだ。魔王』
霧のように散っていった声の主の魔力は跡形もなく消え去ると魔王が展開した魔法陣も跡形もなく消えさっていた。
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