第二十三話
アルカポスで起きた騒動に紛れて街を後にするノクト達はヒストリアの王都へ戻る道中を進んでいた。
「街の復旧に力を貸さなくて良かったのですか?」
ホホはアルカポスで起きた悪魔との騒動で損壊した街の復旧に力を貸さずに騒動に紛れて街を出たノクトとラザフォードに質問した。
「ここはザイロンの国土だ。ヒストリアの勇者が騒動の関係者と知られれば国際問題になる。ここは騒動から逃げ出すのが結果として大きな問題にならずに済む」
ホホの質問にラザフォードが丁寧に説明するとホホは複雑そうな表情を浮かべながらノクトとラザフォードの後を追った。
「ホホの気持ちも分かるが、ここで時間を喰うわけにもいかない。それにホホの村と違ってアルカポスは街の修繕にも俺達の力は大して役に立たないだろう」
複雑そうな表情を浮かべているホホにノクトは少しでも不安を緩和させるために事情をより丁寧に説明した。
ノクトの説明にホホは少しだけ表情が柔らかくなった。
「今は王都に戻ることが最優先事項だ。復旧はアルカポスの住民に任せるほかない」
ホホとノクトに話すラザフォードは若干速足で先に進んでいた。
ラザフォードの早足にホホとノクトは置いてかれないように速足で付いていく。
そんな最中ラザフォードが口を開く。
「ノクト。さっき聞こえた声の奴に心当たりはいるか?」
「いえ。全く」
ラザフォードの言葉にノクトはすぐに返答するとノクトはラザフォードの言葉の意図を考えた。
「もしかして俺達の近くの人間にさっきの声の主と繋がってるやつがいる可能性を考えているんですか?」
ノクトが思いつくラザフォードの言葉の裏を口にすると、ラザフォードはノクトに視線を向けた。
「あまりにも俺達の行動を見透かされているように見える。いくら何でも詳細な事まで声の主は知り過ぎだ」
「内通者ですか。確かにその線は可能性がありますね」
声の主は悪魔側と勇者側、どちらの動きも声の主は知り過ぎな節がある。いくら謀略を張り巡らせて上手く事が運んでいるにしても途中報告がなければ事が順調にいく保証がない限り逐次情報が必要になる。
そうでなければ臨んだ方向でない展開になりかねない。
「それもシルフィーに話すべきですか?」
「あぁ。悪魔側が最終段階に入ったのなら尚更勇者同士対策を練る必要がある。これ以上厄介な事柄を抱える前にな」
ラザフォードは苦い顔を浮かべながらノクトに話した。
「そうですね。なら尚更早く王都に向かうべきですね」
そう言ってノクトはラザフォードと同じく王都へ戻る脚のりが早くなる。
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