第十九話
「ノクト!大丈夫か⁉」
聖剣術の青い炎の球を放ったラザフォードはノクトに駆け寄りながら声をかけた。
「はい。なんとか」
ノクトはラザフォードに返事を返すとシャルとの戦いの緊張感が解けた影響で急に足が重くなった。
全身が疲弊していたノクトはシャル達が立ち去って緊張感が解けると地面に膝を付いた。
「先生⁉」
ノクトが膝を付くとホホはノクトに駆け足で寄っていく。
「無理しないで下さい!」
ノクトの傍にたどり着いたホホは膝を付いて倒れそうなノクトの体を押さえて注意した。
注意を受けたノクトは溜まり切った疲弊でホホに返事を返す余裕もなくそのままホホに体を預けた。
「ホホの言う通りだとは言いたいが、相手が相手だから仕方ないか」
ホホに支えられているノクトの傍に歩み寄ってくるラザフォードはシャルと悪魔を相手にしたノクトに強く言葉を告げなかった。
「それよりノクトも紋章を狙われたのか?」
「はい。ラザフォードさんも狙われたのですか?」
「あぁ。左目の紋章を狙われた」
ラザフォードの話を聞いてノクトはラザフォードもシャル達に紋章を狙われた事を察した。
ホホはノクトとラザフォードの話に入り込まないようにしていると、荷物入れから薬箱を取り出した。
「先生。今から治療しましょう」
「すまない。頼む」
ホホの指示をノクトは了承するとホホは薬箱の中から深緑色の塗り薬を取り出した。
塗り薬と取り出すとホホはノクトの上着を脱がした。
ホホが上着を脱がすとノクトの上半身は自爆覚悟で放った落雷による火傷で爛れていた。
ホホは手に取った塗り薬を掌に伸ばしてノクトの爛れた肌に塗っていく。
塗り薬を村れるノクトは火傷した部位に感じる痛みで顔を歪めた。
「痛みますがすぐに慣れていくはずです」
塗り薬を塗るホホはノクトに我慢するように伝えて患部に塗り薬を伸ばしていく。
「それでノクト。お前は奴らが何の目的で紋章を狙ったのか分かるか?」
「いえ。俺にも見当が付きません」
ラザフォードの質問にノクトも見当が付かない様子だ。
「ですが、シャルの言ってた言葉が本当とするとすでに悪魔達は勇者の紋章を揃え切った事になります」
シャルが去り際に言った「私達のやるべきことが終わったのでこれでお暇します」という言葉にノクトはシャル達が紋章を収集しきっているという想定を立てた。
「だが勇者の紋章は全部で七つ。俺達が持っている紋章は六つ。英傑の紋章はまだ見つかってない」
「それなんですが、悪魔達が一番最初に手に入れたのが英傑の紋章なんです」
ノクトが言葉にするとラザフォードは驚愕の表情を見せた。
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