第十八話(表裏)
シャルは新しく光の剣を顕現すると同時にノクトの方へ駆け寄った。
間合いを詰めていくシャルにノクトは雷の魔術を発動して雷撃の弾丸を放つ。
ノクトが放った雷撃の弾丸にシャルは一切退くことなく光の剣で受け流しながら距離を詰め寄っていく。
ノクトが苦い顔をするとシャルは握っている光の剣をノクトの方へ斬りかかる。
その瞬間ノクトは赤い剣を地面に突き刺し、表情が苦い表情を空不敵な笑みに変わった。
シャルがそれに気付いた時には遅かった。
空に渦巻く黒雲から凄まじい稲光と雷鳴を轟かせて落雷がノクトとシャルの下に落ちた。
ノクトとシャルは稲光に呑み込まれると雷鳴と共に地面が爆発する爆音が轟いた。
爆音に土煙が立ち込めると土煙の中に一人人影が立っていた。
落雷と共に雨が降り出して舞い上がっている土煙が落ちていくと人影の姿が露わになっていく。
「……どうだ?……これでもう動けないだろ。……シャル?」
土煙が落ちていくと地面に立っていたのはノクトだった。
ノクトは地面に倒れているシャルに向けて話しかけるとシャルはしびれる体を地面に這いつくばっていた。
「まさか自爆覚悟でシャルロットを落雷に巻き込むとは、さすがの胆力です。ノクト様」
シャルロットが地面に倒れていると少し離れた所から悪魔が冷静な口調で状況を口にしていた。
「……そういうお前は高みの見物か?」
ノクトは息を切らしながら悪魔を鋭い眼光で睨む。
落雷の影響でノクトも多少傷を負っていた。ノクトは反射的に左肩を押さえていた。
「いえ。私は機会を待っているのです。ノクト様が隙を見せる絶好の機会を」
悪魔が言葉にするとノクトは脚を掴まれる感触を覚えた。
ノクトは咄嗟に足元を見ると地面に倒れているシャルがノクトの脚を掴んでいた。
「……ノクト、……私を舐め過ぎよ」
シャルがそう口にした直後ノクトは体の自由が奪われる感覚を覚えた。
「……ノクトは魔王の血族で体が頑丈なのは知ってる。……けど私も悪魔の力で体は頑丈なの。そこを信念してたわね」
シャルは息を切らしながらノクトに体の自由を奪う封印術を施した後ゆっくりと立ち上がった。
「これで本当に終わりよ」
シャルは手元に《写し鏡》を取るとノクトの右目に《写し鏡》を近づけた。
ノクトの右目に《写し鏡》が近付くとノクトの右目の紋章から光の束が溢れ出して《写し鏡》の鏡面に吸い込まれていく。
ノクトは今でもこの場から離れたいがシャルの施した封印術を破るだけの力は残っておらず全く身動きが取れなかった。
《写し鏡》が吸い取っていく光の束が全て吸い取られると《写し鏡》の鏡面に複雑怪奇な文様が刻まれた。
「あとは左手の紋章だけですね」
「えぇ。これで最後よ」
悪魔とシャルが話しているとシャルは身動きが取れないノクトの左手に《写し鏡》を近づけた。
右目と同じように左手の紋章から光の束が溢れ出して《写し鏡》の鏡面に吸い取られていく。
成す術のないノクトはそのまま紋章から溢れ出す光の束を吸い取られていく様を見ていると、突如青い炎の球がシャルと悪魔の下に飛んでいく。
シャルは光の束を吸い取っていた《写し鏡》を放して青い炎の球を避けた。
シャルが青い炎の球を避けて距離を取った直後身動き一つとれなかった体の自由が元に戻った。
「邪魔が入りましたね」
青い炎の球を避けた悪魔は元々の偉業の顔を歪めてノクトの後ろを見た。
ノクトは背後から飛んできた青い炎の球の放たれた方を振り向くとその二は見知った人達が映った。
「大丈夫でしたか⁉先生‼」
水色の髪の亜人の少女のホホとホホの後ろで聖剣を構えている獣人のラザフォードがノクトの下へ駆け寄っていた。
「ホホ。ラザフォードさん」
ノクトは呆然としながらホホとラザフォードを見るとラザフォードはシャルと悪魔の方を睨んだ。
「さすがに今の戦力ではこちらが不利ですね」
「そうね。それにやるべきことは終わったわ」
ラザフォードに睨まれたシャルと悪魔は《写し鏡》の鏡面を見た。
鏡面には先程とは違う複雑怪奇な文様が気様れていた。
「私達のやるべきことが終わったのでこれでお暇します」
そう言うとシャルと悪魔の体は黒い炎に包まれていく。
黒い炎に包まれたシャルと悪魔は黒い炎が散り散りになると同時に姿を消した。
お疲れ様です。
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これkらも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。