第十七話(表裏)
蔓にからめとられたシャルにノクトは刃が舐め融かされた赤い剣の切っ先を向けた。
切っ先を向けたノクトに蔓に絡まったシャルは鋭い眼光を見せた。そしてシャルはすぐ口角を釣り上げた。
「それを決めるのはまだ早いわよ。ノクト」
シャルの言葉を聞いたノクトは怪訝そうな表情を浮かべると背後から肌がひりつく感覚が奔った。 背後から感じるひりつく感覚にノクトは振り向くとノクトの全身に叩きつけるような衝撃が襲った。
全身を襲った衝撃にノクトは吹き飛ばされると同時にシャルに絡みついた蔓が切り刻まれた。
吹き飛ばされたノクトはすぐに受け身の体勢を取って地面に着地した。
受け身を取ってすぐノクトは立ちあがった。立ち上がったノクトは振り向こうとした方向を見た。
ノクトが見た方には黒い影が映った。
「お久しぶりです。ノクト様」
ノクトに挨拶した黒い影である悪魔は手をノクトの方にかざすと衝撃波をノクトの方に放った。
放たれた衝撃波をノクトは走って躱すとノクトの背後にある建物と衝突して建物の壁を粉々に砕いた。
「出会ってすぐに攻撃とはとんだごあいさつだな?」
「申し訳ございません。ですがこれもすべては計画のためなのでお許しください」
ノクトは眉間にしわを寄せて悪魔に話しかけると悪魔は淡々とノクトに返事を返した。
返事を返してすぐに悪魔はシャルの方に手を伸ばした。するとシャルに絡みついた蔓は切り刻まれた。
「少し詰めが甘いのではないですか。シャルロット?」
「余計なお世話よ」
蔓から解放されたシャルは立ち上がると悪魔の方を見た。
「それに街の住人を街から出すのに時間がかかり過ぎじゃないの?」
「人払いは私達の専門分野ではないので少しは考慮して頂けると助かるのですが」
シャルの苦言に悪魔は申し訳なさそうに、それでいて物言いたそうな口調で返事を返した。
「それで、ノクト様の紋章は複写できたのですか?」
「それができていれば私がここに残ってないわ」
「それもそうですね」
悪魔の言葉にシャルは眉をひそめながら言葉を返すと悪魔はまだノクトの紋章を複写できていない事を察する。
「それでもノクト様は疲弊している様子ですね。これなら私達でもノクト様を追い詰められそうです」
そう言って悪魔はすぐに魔法陣を展開して光の槍を顕現した。そして悪魔は顕現した光の槍をノクトに投擲した。
ノクトは悪魔が投擲した光の槍を握っている赤い剣で受け流した。
光の槍を受け流した赤い剣は鈍い音を響かせて刀身に亀裂が奔った。
「さすがにその剣では私達に傷などつけられませんよ」
悪魔の言葉にノクトは火が無視を噛み潰したような顔を浮かべた。
悪魔の言うとおり赤い剣は刃が舐め融かされている上刀身には亀裂が奔っている。どう考えてももう赤い剣は使い物にならない。
「今度こそ終わりにしましょう。ノクト」
不利な状況のノクトにシャルは鋭い眼差しを向けて言い放った。
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