第十四話(表裏)
先程の眠気が覚めたノクトはすぐに部屋の机の上に紙とペンを置いた。
ノクトは机の上に置いた紙にペンを走らせてラザフォードに伝えなければならない事を記していく。
紙に書き記し終えたノクトは部屋の中に入れた伝書用の鳥の背中の筒に書き記した紙を折りたたみ中へ入れた。
筒の中に手紙を入れたノクトは伝書用の鳥を窓の外に動かした。窓の外に移動させた伝書用の鳥は翼を羽ばたかせて夜空へ飛んでいった。
ノクトはそのままベッドの方へ戻っていったがラザフォードの手紙を読んで目が冴えてしまいこの日は一睡もできなかった。
ノクトは朝一で宿から出てアルカポス大図書館へ行った。
アルカポス大図書館の入館したノクトはすぐに貴公複写し始めた聖典を再度複写し出す。
複写をするノクトは日が傾き閉館時間ギリギリまで聖典の複写をして聖典一冊を複写し終えた。
複写し終えた聖典を元の本棚に戻して退館すると外は肌寒い冷気が漂っていた。
ノクトは宿に戻ろうとした矢先、ノクトの全身に霊気とは別の肌をひりつかせる感覚が奔った。
ノクトは全身に奔るこの感覚には嫌という程覚えがある。
ノクトは背後を振り返ると、漆黒の炎が立ち上がり火柱をつくると漆黒の火柱の中から人影が見えてくる。
「最近は良く会うな。シャル」
「残る標的はあなただけだからね。ノクト」
ノクトは漆黒の火柱から姿を現したシャルに声をかけるとシャルは纏う漆黒の火柱を黒の外套に形を変えた。
「なぜ悪魔側のシャルが勇者の紋章を狙う?」
「やっぱりノクトに私達の目的がバレてしまったようね」
ノクトが鋭い眼光を向けてシャルを見るとシャルは何一つひるまず言葉を返した。
「そうよ。私達はノクト達勇者の持つ勇者の紋章を狙っている。すべては私達の大義をなすために必要な事よ」
「その大儀ってなんだ?」
「今は敵のノクトに言う程私も口は軽くないわ」
「そうか。だったら意地でもシャルに紋章を渡すわけにはいかない」
ノクトは腰に携えていた赤い剣を抜剣するとシャルは魔法陣を展開して攻撃態勢に入った。
先に動いたのはシャルだった。
シャルは展開した魔法陣から雷球を何発もノクトの方へ放った。
シャルが放った雷球は一直線にノクトの方へ飛んでいく。ノクトは飛んでくる雷球を赤い剣を振るい全弾切り伏せた。
赤い剣に切られた雷球はノクトの後ろで凄まじい閃光を放ちながら消失した。
通りのど真ん中で戦闘を繰り広げているノクトとシャルの周囲にいた人々は悲鳴を上げながらノクト達の周囲からかけ離れた。
「さすがは勇者。この程度の攻撃じゃ時間稼ぎにもならないわね」
「それを分かってこんな攻撃をしたのは聖剣のない俺の力量を知るためだろ?」
ノクトは剣の切っ先をシャルに向けて話した。
「やっぱりノクトは敵に回すのが一番やな人物だわ。私の考えてることを見通されるようでやりにくいわ」
「それは俺も同じだよ。シャル」
剣の切っ先をシャルの方に向けたノクトは赤い剣を構え直した。
ノクトが赤い剣で虚空を切ると、赤い剣の軌跡からシャルに向かって赤い光の槍が幾重にも飛んでいく。
シャルはノクトの放った赤い光の槍に再び雷球を放ち全て撃ち落とした。
赤い光の槍を撃ち落とした雷球は凄まじい閃光を放ち対消滅した。
「ノクトもこんな攻撃じゃ私に届かない藻を知っているでしょ?」
「あぁ。今のシャルは危険すぎる事は俺でも分かる。だから街の住民が寝ゲル時間を稼いだ」
「本当に優しいわね、ノクトは」
そう言うとシャルは手元から光の剣を顕現した。
「けどそれがあなたの弱点よ」
シャルは光の剣を顕現すると一気にノクトの間合いを詰め寄ろうと駆け寄った。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。