第十八話
アルカポス大図書館に再び入館したノクトはその足で受付まで進んでいく。
受付まで進んだノクトは受付の女性に声をかけた。
「すみません。先日聖典の複写の許可を取った者ですが」
「申請書の写しは持っていますか?」
「はい」
受付の女性が申請書の提示を口にするとノクトは手元から申請書を受付の机の上に申請書の写しを置いた。
「少々お待ちください」
受付の女性が申請書の写しを手に取ると受付の奥へ進んでいった。
しばらくすると受付の女性が戻ってきた。
「聖典の複写の許可は取れました」
「分かりました。ありがとうございます」
受付の女性はノクトの複写の許可が取れた事を伝えるとノクトは受付を後にして本棚が並ぶ場所へ向かった。
ノクトは聖典が保管されている本棚に到着すると聖典を手に取った。
聖典を手に取ったノクトは机のある空間まで移動すると机の傍に座った。
ノクトはペンと紙の束を机に置くと聖典の表紙を開いた。
そしてノクトは黙々と聖典の記されている文を複写し出した。
複写していくと大図書館の窓から差し込む日光の光が茜色に変わっていた。
「さすがに聖典一冊を半日じゃ複写しきれないか」
ノクトは約半日中机の前で聖典の複写をしていたが、半日かけて聖典の内容の三分の一も複写しきれなかった。
「また明日複写しに来るか」
ノクトは腕を上に伸ばして背筋を伸ばした。
背筋を伸ばして凝り固まった筋肉を伸ばすとノクトは小さく息を吐いた。
ノクトは聖典を手に取ると元の本棚に戻すと荷物をまとめて大図書館を出た。
ノクトは大図書館を出るとすぐに宿を取った宿舎へ足を運ぶ。
宿舎に戻ると外は夜の帳に染まり始めていた。
若干気温が下がってきた外の空気にノクトの息は少し白んでいた。
宿舎に戻ったノクトは自身が複写した紙を部屋の机に置いてベッドの上に寝転がった。
「……疲れた」
丸半日を使い聖典の複写をしたノクトは体中に溜まった疲労で眠気が一気に襲い掛かってきた。
ノクトは重たくなってきた瞼をこすり徐々に意識を薄くなってくると部屋の窓から物音が聞こえた。
ノクトは物音が聞こえる窓を見ると窓の外には鳥が窓の戸をつつく姿が映った。
「またか」
ノクトは再び意識が戻った体を起こして窓の方へ進む。
窓の戸を開けると窓をつついた鳥が部屋の中に入った。
窓に入った鳥には背中に小さな筒を背負っていた。ノクトは背中に背負っている筒を取ると筒の中身を手に取った。
筒の中身を取り出したノクトは筒の中に入っていた紙を見た。
手紙を手に取ったノクトは書かれている文面を読む。
「ラザフォードさんからか」
ノクトはラザフォードからの手紙を読んでいくとノクトは徐々に眉を顰めだした。
ラザフォードからの手紙にはノクトの聖剣を届けるためにホホと共に旅をしている事、悪魔達が何らかの理由で勇者の紋章を狙っている事などが書かれていた。
ラザフォードの手紙を読み終えたノクトは先程の眠気が嘘のように覚めていた。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。