第十三話(表裏)
聖剣を手放して聖剣術の盾が消えてしまったシルフィーは成す術もなく地面へ落下する。
そんな状況で落下するシルフィーの背後から羽交い絞めにする者がいた。
「何⁉」
地面へ落下していたシルフィーの体が急に羽交い絞めにされて宙に浮いた。シルフィーは背後を振り返ると、羽交い絞めにしている者が異形の顔をした者である子をに気付く。
「聖剣を失い足場のないここではあなたは手出しできませんよね?」
異形の顔の者——悪魔はシルフィーの背後から羽交い絞めにした状態で話しかけた。
「まさかこうなるように戦っていたのですか⁉」」
「大体はあなたの考えている事と合致しています。けれどシャルロットがあなたを手を組むという流れは想定外でしたが」
悪魔は依然と表情を変えないままシルフィーにここまでの流れが大体想定通りに進んでいた事を告げた。
ただ一つ、シルフィーに協力を仰いだことは想定外である事も告げた。
「確保できたようね。ミュー」
上空から降りてきたシャルはミューにシルフィーを捕まえた事を口にしてシルフィーの元へ降りてきた。
「シャルロットが勇者の隙を突いたおかげです」
ミューはシルフィーを羽交い絞めにしたままシャルの遊撃のおかげだと伝えた。
「一体何をするつもりなのですか?」
「それは他の勇者から聞いているはずです」
そう言うとシャルは手元に手鏡を出した。
シャルは手元に出した手鏡をシルフィーの足元に近付けると、シルフィーの右脚から複雑な文様が浮かび上がったと同時に複雑な文様から光の束が放たれた。
文様から放たれた光の束は手鏡の鏡面に吸い取られていく。
文様から放たれた光の束が手k神に吸い取られていくとしばらくして、右足から浮かび上がった文様が消えた。
それと同時に手鏡にはシルフィーの右脚に浮かび上がっていた複雑な文様が刻まれていた。
「やっと一つ紋章を複写できました。あとはもう一つ」
シャルの手にある手鏡をシルフィーの左脚を写した。
すると左脚にも複雑な文様が浮かび上がり手鏡の方へ浮かび上がった文様から放たれる光の束を吸い取っていった。
吸い取られていく光の束を見たシルフィーは咄嗟に左脚をシャルの方へ蹴り出した。
咄嗟のシルフィーの蹴りにシャルは躱そうとしたが手に持っている手鏡にシルフィーの足先が掠った。
シルフィーの足先にかすった手鏡はシャルの手元から離れて地面へ落ちていった。
手鏡が地面へ落ちるとシャルとミューは一瞬手鏡に気を取られて隙が生まれた。
その隙を狙いシルフィーは強引にミューの羽交い絞めから抜け出した。
羽交い絞めから抜け出したシルフィーは手鏡と共に地面へ落下した。
「最初から狙いは《写し鏡》か!」
手鏡と共に落下するシルフィーは手を伸ばしてシャルが持っていた《写し鏡》を取ろうとした。
シルフィーの意図に気付いたシャルはすぐに急降下して《写し鏡》を拾おうとする。
重力で落下速度が加速していくシルフィーは手を伸ばしたすぐ先に《写し鏡》が届きそうになる。
しかしシルフィーが《写し鏡》に触れる直前、急降下したシャルが先に《写し鏡》を拾った。
シルフィーは先に《写し鏡》を取られると同時に、地面から重力に逆らって地面に落ちていた聖剣が急上昇していた。
シルフィーは急上昇した聖剣を手で受け止めるとすぐに構え直した。
シルフィーは地面の方を背後にして聖剣術を発動した。
シルフィーが聖剣術を発動するとシルフィーの背中に聖剣術の盾が顕現した。それと同時にシルフィーの落下地点に聖剣術の盾が顕現して落下していくシルフィーの背中に衝突する。
衝突した聖剣術の盾は今までのように堅牢な硬さではなく粘りの強い柔らかな盾で衝突したシルフィーが埋まった。
柔らかな盾に埋まったシルフィーは盾の粘りで落下の速度が殺されて地面に軽く叩きつけられるだけで済んだ。
「まさか、あなたも多少なりとも神聖術が使えるとは予想外でした」
「簡単に敵に手の内を明かさないのは戦いの鉄則です。それはあなたも分かっているはずです」
シャルはシルフィーが羽交い絞めを抜け出して手鏡を狙ったのが嘘で会った事をついさっき気付いた。
本当の目的は地面に着地するために席に地面に落ちた聖剣を神聖術で引き寄せることが目的だった。
そして無事聖剣術を手元に呼び寄せて無事地面に着地した。
「そうでした。けれど私達の目的は達成しました」
地面に降りてくるシャルはシルフィーを見て口を開いた。手元に握っている手鏡にはシルフィーの左足から浮かび上がった文様が刻まれていた。
「これで後はノクトの紋章だけ。ですので私達はこれで失礼します」
シャルは地面に着地すると羽織っている外套の黒い炎が全身を包み炎が消えたと同時にシャルの姿が消えた。
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