第十二話(表裏)
シャルは握っている双剣で間合いに詰め寄ったシルフィーに斬りかかった。
シルフィーは斬りかかってきたシャルの双剣を聖剣術の盾を顕現して防御すると、シャルは防御された双剣の斬撃に魔力を流した。
シャルの振るった双剣から凄まじい量の火花が散り出して雷鳴に近い轟音が響き出す。
稲光を纏った双剣は防がれた聖剣術の盾を圧し続けると聖剣術の盾が徐々に亀裂が入り、双剣から放たれる稲光が今まで以上に強くなると聖剣術の盾は砕け散った。
シルフィーは後ろに下がりシャルから距離を取るとシャルは一気に距離を詰め寄る。
シルフィーが聖剣術の盾を顕現するよりも早くシャルは稲光を纏った双剣でシルフィーに斬りかかった。
シルフィーは咄嗟に稲光を纏った双剣を聖剣で受け止めるとシャルはにやりと笑った。
その直後、シャルはシルフィーの胴に蹴りを入れた。
「っ⁉」
シャルに蹴られたシルフィーは胴に伝わる鈍い痛みが奔り苦悶の表情を浮かべて体勢を崩した。
体勢を崩したシルフィーはすぐに聖剣術の盾の足場をつくり体勢を立て直すと、シャルは後方に下がった。
シルフィーは蹴られた箇所を押さえて視線を落とすとシャルの胴に小さな魔法陣が浮かび上がっていた。
「その魔法陣は私の魔術を確実に命中させるビーコンです。これでどれだけ躱そうと動き回っても必中します」
そう言ってシャルは再び天に片手を上げて剣を突き上げた。
天に突き上げた剣は強い稲光を纏い出した。
それと同時に天に渦巻く黒雲から雷鳴が響き出す。
「この雷は先程とは比べ物になりません。躱せない今、この雷をどう防ぎますか?」
天に突き上げた剣の稲光は徐々に強く輝き出すとそれに応じて渦巻く黒雲に轟かせる雷鳴が鋭さを増していく。
シルフィーは聖剣術の盾を顕現した。シルフィーの上空に巨大な盾が顕現するとその盾の上に一回り大きい盾が顕現した。
シルフィーは聖剣術の盾を五重に顕現すると天に浮かぶ黒雲から強烈な稲光と雷鳴が降り落ちた。
降り落ちた稲光は聖剣術の盾に衝突すると瞬く間に衝突した聖剣術の盾を砕いた。
砕けた盾の次に待ち構えている盾も雷に衝突して砕ける。
防いでは砕いていく雷は聖剣術の盾によって弱くなっていく。
雷が衝突した聖剣術の盾は亀裂が生じさせていく。
最後の盾が今にも砕けそうな程亀裂が奔ると雷は消えていた。
「まさか、私の最高火力の魔術を防ぎ切るとは思いませんでした」
「そう言いながら驚いてない様子をみるに、私が防ぎ切る事を想定していたようにうかがえます」
「えぇ。だからこれで終わりにしましょう」
シャルは天に突き上げた剣をシルフィーに向けると、纏っている稲光が弾丸となりシルフィーの構えている聖剣の腕を撃ち抜いた。
シャルの撃った雷撃の弾丸が腕に命中すると痛みと痺れが奔りシルフィーは聖剣を手放してしまった。
その直後、足元に顕現している聖剣術の盾が消失した。
足場にしていた盾が消失するとシルフィーはさっさかさまに地面へ落ちて言った。
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