第十一話(表裏)
互いに間合いを詰めたシルフィーとシャルの振るった剣は再び鍔迫り合いになる。
聖剣術の盾を足場にしているシルフィーは鍔迫り合いになった場所に聖剣術の盾を顕現して強く踏み込んだ。
一方のシャルは浮遊魔術で空中に浮いたまま鍔迫り合いをしている。この場の自由度で言えばシャルに軍配が上がる。
シャルは鍔迫り合いになるとシルフィーの押す力を利用してあえて後ろに後退した。
シャルが後退するとシルフィーは自身を押していた鍔迫り合いが解けて前へ体重が前に移動してしまった。
シルフィーは足場を聖剣術の盾で造っていた為すぐに新しい足場を顕現して空中から落ちないようにした。
その隙を逃さず、シャルは後退してすぐに雷球を顕現してシルフィーの元へ放った。
放たれた雷球は胃直線にシルフィーの方へ飛んでいった。シルフィーはすぐに体勢を立て直して聖剣術の盾を目の前に顕現した。
シャルの放った雷球がシルフィーに衝突する前に聖剣術の盾によって防がれる。
シャルの放った雷球を全弾防いだシルフィーはすぐにシャルを囲むように聖剣術の盾を顕現した。
「⁉」
シャルは不意を突かれての出来事に驚愕した。
浮遊魔術で移動するよりも速く聖剣術の盾によって行く手を全て塞がれてしまった。
「どうですか。貴女の攻撃では私の聖剣術の盾を壊せません。このまま大人しく縛に着いて下さい」
真剣な口調で縛に着くことを促すシルフィーに対してシャルは少し間を開けて苦笑し始めた。
「まさか、今までの私が本気で相手したと思っているのですか?」
「どういう意味です?」
「言葉通りの意味です」
そう言うとシャルは両手を天に向けた。
シャルが両手を天に向けると上空に漂う雲がシャルの真上を中心に渦を巻きながら収束し出した。
徐々に風が強く噴き出して空の雲がどんどん黒くなっていく。
収束していく黒雲はゴロゴロと小さな雷鳴を響かせていく。
そして黒雲の中心から閃光を放ち耳を劈く程の雷鳴を周囲に轟かせた。
黒雲から放たれた稲光は真っ直ぐにシャルの方へ落ちてシルフィーがシャルと囲った聖剣術の盾に命中した。
すさまじい稲光と雷鳴を轟かせて聖剣術の盾に命中すると強固な盾をいともたやすく砕け散らせた。
稲光が消えるとシャルを囲っていた聖剣術の盾は崩れ落ちて跡形もなく砕け散った。
「どうですか?これで私の言った意味を理解できましたか?」
「……えぇ。やはりあなたは危険すぎます」
砕け散った聖剣術の盾から抜け出したシャルはそのままシルフィーの間合いに踏み込もうとする。
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