第十話(表裏)
互いに斬りかかった剣は衝突して鍔迫り合いになる。
シルフィーは鍔迫り合いになるとすぐに両脚の紋章に意識を集中させた。
両足に刻まれた紋章から力が湧き出して鍔迫り合いをしているシャルを押し戻していく。
シルフィーに押し返されているシャルは両手に持っている双剣を必死に体重を乗せるが、シルフィーの踏み込みの力が勝っていた。
徐々にシルフィーに圧されているシャルは双剣をうまく使いシルフィーの聖剣を流した。
シルフィーの聖剣を流したシャルはすぐに体勢を変えてシルフィーの方に双剣を向ける。しかしシャルが双剣をシルフィーに向ける前にシルフィーの姿がなかった。
「さすがは勇者。すぐに距離を取るその俊敏な動き、お見事です」
シャルはすでに自分の背後で距離を取っていたシルフィーに称賛した。
すでにシャルの背後に距離を取ったシルフィーは聖剣を構えてシャルの動きを警戒した。
そんなシルフィーにシャルは背を向けたまま顕現させた魔術の雷撃を放った。
シャルの雷撃にシルフィーは聖剣に力を込めて目の前に盾を顕現した。
顕現した盾に雷撃が衝突すると雷撃は行き場を失い天井へ軌道が逸れた。軌道が逸れた雷撃は天井に衝突すると雷鳴を轟かせて天井に穴を開けた。
天井に穴が開くとシルフィーはすぐに聖剣術の盾を足場にして穴の開いた天井から王室の外を出た。
天井から王室の外に出たシルフィーは聖剣術の盾の足場お上で立った。
空中で立っているシルフィーを追ってシャルは浮遊魔術を展開して天井の穴から飛び出した。
「わざわざ建物の被害を抑えるために自ら空中に乗り出す起点。これもお見事です」
「あなたこそ。私が防いだ雷撃を天井に向けて流す事を見越して狙ったのは知っています」
互いに互いの狙いを見通しての攻防にシルフィーとシャルは一瞬の隙も感じなかった。
シルフィーは聖剣術の盾を足場にしてシャルの方へ間合いを詰め寄ると、シャルは浮遊魔術を制御してシルフィーが間合いを付け寄るのを上空へ移動して距離を取った。
上空へ移動したシャルにシルフィーは両足の紋章に意識を込めてシャルの上空移動に負けない跳躍で再び間合いを詰める。
上空へ移動するシャルは後ろを追っているシルフィーに向けて雷球を放つ。
放たれた雷球を聖剣術の盾で防ぐシルフィーは防いだ盾を足場にしてシャルの元へ間合いを詰めていく。
そしてシャルの空中移動よりも速さが上回り、シャルの行く手には既にシルフィーが移動していた。
「追いかけっこは終わりです」
「そうですね。ここまで移動すれば誰も邪魔をしてくることはできません」
シルフィーは足元を見るとすでに王都の端まで移動して空に浮かぶ雲も地上より近くに映る。
「ここまで高くまで上昇すれば先に力が尽きた方が負け。落ちれば必ず死んでしまうでしょう」
「これではあなたと殺し合いをせざるを得ないでしょうね」
互いに言葉を交わした後、一瞬の沈黙が漂った。
そして互いに構えた剣を握り直すと両社は間合いを詰め寄った。
お疲れ様です。
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