第六話(表裏)
「……やられました!」
王宮に届いたラザフォードの血判に聖剣術で血判を文章化するとラザフォードからの事態を知った。
ラザフォードも完全に把握してはいないようだが、今回の悪魔達はラザフォードの命ではなくラザフォードの左目の勇者の紋章を狙ってきた。
ラザフォード自身何が狙いで悪魔が戦ったのか理解しきれていないせいでシルフィーに何を警戒すべきなのか伝えきれなかったが、ともかく悪魔達の狙いが勇者である事だけは伝わった。
「こんな時に勇者ファルコが別件で王都の外とは」
シルフィーはタイミングを呪いながら腰に携えている聖剣を抜剣して光の鳥を顕現した。顕現した光の鳥は切っ先から羽ばたいていく。
羽ばたいた光の鳥は一直線に空を羽ばたいて飛んでいった。
「悪魔達より早く届いてほしいです」
そうしてシルフィーはラザフォードに起きた事態をファルコに伝書した。
王都の外。
王宮の仕事で王都の外に出ているファルコの目の前には既に悪魔達と黒装束の少女がいた。
「久しいな。悪魔側の人間」
「えぇ。本当に久しぶりですね。勇者」
互いににらみ合いながらファルコは聖剣を、シャルは光の剣を構えた。
「僕に何の用だ?」
「それを言ったら素直に聞いてくれるのですか?」
「そう思って尋ねてないだろう」
「そうですね。少なくともこちらの意見を素直に聞いてくれるとは思ってません」
互いに互いの意見など聞く気のない両者は構えた剣を再度強く握り間合いを詰めた。
ファルコは聖剣術で構えた聖剣の刃に光を纏わせる。纏わせた光の刃にシャルは真っ向から受け止めるのではなく光の剣で受け流した。
ファルコの聖剣を受け流したシャルはすぐにファルコへ光の剣を振りかざすがファルコもすぐに体勢を変えてシャルの斬撃を受け止めた。
シャルが振るった光の剣はファルコの光の刃に触れた瞬間、シャルの光の剣は胃とも容易く折れた。
折れたシャルの光の剣はファルコの聖剣術に負けた。
シャルはすぐに距離を取ろうと後退するが、ファルコはシャルの後退を許さなかった。
後ろに下がろうとするシャルにファルコはすぐに間合いを詰め寄った。
ファルコは間合いを詰め寄ると容赦なくシャルへ聖剣を斬りかかる。
ファルコの聖剣の斬撃にシャルは咄嗟に魔術で受け流す。しかし咄嗟の防御にファルコは何一つ恐れず全力で攻撃をし続ける。
シャルは全力で剣戟を続けるファルコに一瞬の隙が生まれた時に回し蹴りを咥えて蹴り飛ばした。
回し蹴りを受けたファルコは虚栄を取ってすぐに体勢を立て直した。
「どうやらこちらの手を読んで間合いを詰め寄ってきたのですか?」
「そうだと言ったらどうなんだ?」
シャルの質問に質問返しするファルコはシャルににらみを利かせて警戒していた。
「いえ、その手は私単体での攻撃としては名手ではあります。けれど今回に限っては握手になりかねません」
そう言ってシャルはファルコに向かって逆に間合いを詰め寄った。
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