第十四話
「着きましたね。ラザフォードさん」
「そうだな」
ホホとラザフォードは最寄りの村に到着した。
以前悪魔の襲撃の際に村の建物が倒壊した。
その時に偶然出くわしたノクトとラザフォードが悪魔を退けて村の復興に尽力した経緯がある。
まだ新しく建設された建物は一年程度しか経過していないため随分と建物の年季が感じられない。
「久しぶりに爺さんに顔合わせたらどうだ?」
ラザフォードはホホの育ての親——コンと再会する事を勧めた。
「いいんですか?」
「別に休憩時間の間、嬢ちゃんを縛る気なんてないからな。自分の好きなようにしていいさ」
ホホは少し躊躇するような様子だったが、ラザフォードは自由時間をどのように使ってもいいと伝えた。
「お言葉に甘えさせてもらいます」
そう言うとホホはラザフォードの傍から離れて一直線に目的地へ向かった。
ホホは速足で目的の方へ進むと、見た事のある建物が見えてきた。
一年以上前に旅立つ前までお世話になった薬屋だった。
ホホは薬屋の中に入るため薬屋の扉を開けた。
「いらっしゃい」
ホホが入店すると店主のしわがれた声の入店の挨拶をかけてきた。
「ただいま。オジジ」
ホホは店主——コンに戻ってきた挨拶をすると、コンは一瞬、驚きの表情を浮かべた。
「おかえり、ホホ」
驚きの表情を見せたコンはすぐに元の落ち着いた表情に戻り戻ってきたホホに挨拶を返した。
「背が伸びたんじゃないか?」
「残念だけど大して身長は伸びてないの」
コンは久しぶりに見たホホの雰囲気が変わったように見えて真っ先に身長が伸びたからなのか尋ねると、ホホはあまり身長が伸びていない事を口にした。
「まったく。人の容姿を褒めるならちゃんと変わったところを言うべきだよ、オジジ」
「ほっほっほ。いやはや。まさかホホに注意を受ける時が来るとは思いもやらなんだ」
コンはホホに注意を受けた事に笑い声をあげた。
どこか嬉しそうな様子のコンにホホは「まったく」と呟き呆れた様子だった。
「それより何で村に戻ってきたんじゃ?」
「まあいろいろあって——」
ホホはコンから村に戻ってきた理由を尋ねられた。
シルフィーからの忠告でノクトに聖剣を渡すために隣国のザイロンに向かっている事は内密のするよう釘を刺されている。
ホホは本当の木庭は口にせず「旅の途中で偶然立ち寄った」ことだけをコンに伝えた。
「そうだったのか」
「そういうこと。だから村に戻ってきたの。それでラザフォードさんに実家に戻ってオジジと再会することを勧められたの」
一通り隠さなくても良い事を伝えたホホはコンが理解するのを見た後にコンの傍まで歩み寄った。
「それにしても随分魔法薬を店内に置いてるね。オジジ?」
ホホは自分が店にいた時よりも魔法薬が多く店の棚に置かれていることに気付いた。
「だてに魔法薬の勉強をするために旅に出てきていないのー。見ただけで魔法薬と普通の薬を見分けるようになったのか」
コンはざっと店内を見ただけのホホが魔法薬を見分けられたことに驚きと関心を覚えた。
今まで店にいた時のホホは魔法薬と普通の薬とすぐには見分けられなかった。
けれど今のホホは魔法薬と普通の薬と見分けられるほど目が肥えていた。
「その様子だと旅の道中、先生から随分教え込まれたようじゃな?」
「そうね。先生のおかげで今は王宮の魔法薬研究所ではたかせてもらえる程知識や技術を教えてもらった」
「ほう! 魔法薬研究所で働いているのか。それはそれは、ちゃんと成長したようじゃ」
コンはホホが王宮の魔法薬研究所で働いている事にかなり驚いた。
魔法薬研究所は魔法薬の学者でも研究所で働くのが一つのステータスになる程有名な就職先である事をコンも知っていた。
そこで働けていることにホホも嬉しく思っていた。
「頑張ったのー。ホホ」
「うん。頑張った」
最初はシルフィーの推薦で働くことになったホホだが、働いてからは自身の知識や技術がその後の必要なもので、今でも働けているのはノクトの指導のおかげだとホホ自身理解している。
そのノクトの厳しい指導を受けてきたおかげで今でも研究所で働けている。
「ホホは村に滞在するのか?」
「いや、休憩がてら立ち寄っただけだから今日中に村を出るつもりだよ」
コンの質問に答えたホホは踵を返して薬屋の出入り口の扉の方を向いた。
「そうか。まあ、体には消え尾付けるのじゃぞ。ホホ」
「分かってるよ。オジジも体には気をつけてね」
薬屋を出る前にホホとコンは互いに体調に気を付けるように伝えた。
そしてホホは薬屋を出た。
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