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プロローグ2

「ノクト!養父とうさん!お昼ご飯の時間なのに遅い!」


 地下魔法薬学実験室の外に二人の少女がいた。


 二人共太陽のように輝く金色の美しい絹糸の長髪と快晴の空より青く澄んだ瑠璃色の瞳。愛らしい顔立ちの少女二人の特に印象的なところは、目鼻立ち、肌の色、髪色、瞳の色、体格、すべてにおいて瓜二つであった。


まるで鏡の世界に迷うこんだ少女が鏡に映ったもう一人と共に現実の世界へ連れ戻されたような光景だった。


「昼ご飯ができてるからノクトもお養父とうさんも手洗いしてみんなで食べよう?」


最初に話しかけてきた少女とは別の少女がノクトとエドワードに話しかけた。


「分かったよ、シャル。早く手洗いして戻ってくるよ」


 二人を叱った元気溢れる印象の少女アンリエットと一歩引いた大人しい印象の少女シャルロット。瓜二つの容姿でも中身は似ていなかった。


 ノクトとエドワードは手洗いをするため家の側にある井戸に向かい井戸の水を汲む。


 汲んだ水でノクトとエドワードは手に付着した少量の試薬や薬品全般の臭いを落としていく。


「ところでノクト。中級一等魔術師試験の結果はどうだった?魔術師協会から伝達の手紙が届かなかったのか?」


 手洗いが終わったところでエドワードがノクトに先月受験した中級魔術師試験の結果を尋ねた。


「ふーん。そんなに結果が知りたいのか?ジジイ」


 浮かれた様子を隠し切れないノクトを見るエドワードは地雷を踏んだと後悔した。


「どうだジジイ!中級一等魔術師試験に最高判定で合格してやったぞ!」


 ノクトはどこから出したのか、試験の合格通知と成績表をエドワードの目の前に着き出し見せびらかした。


「やっぱり俺って魔術の才能があるみたいで?これならジジイの特級魔術師の資格もすぐ取れるんじゃないかな?」


 ノクトは自慢げに語りだした。その様子に呆れたエドワードは口を挟む。


「特級魔術師の俺に徹底的に魔術を教えてもらって当たり前の成績を見せて自慢するなんてお前も馬鹿だな、ノクト。そんなに自慢したいなら最年少で特級魔術師の資格を得た俺を超すような魔術師になってからにしろ」


「んだとクソジジイ」


 機嫌を少し悪くしたがエドワードが言ったことも間違いでないことはノクトが一番知っていた。


 特級魔術師は世界で百人を切る程の魔術師の最難関資格であり、特級魔術師の資格を持つものはあらゆる魔術に精通し知識だけでなく魔術の技術も一級品の腕を持つ全ての魔術師の尊敬の対象である。


そんな魔術師の下で魔術の修練を積んでいるのだ。中級一等魔術師試験で不合格とあれば教授したエドワードの顔が立たない。


「まあ合格したことについてはよくやったよ。頑張ったなノクト」


 エドワードはノクトの頭に手を乗せ髪をくしゃくしゃにした。


「やめろよ。クソジジイ」


 ノクトは恥ずかしがりながら頭に乗せられたエドワードの腕を払おうとする。


 二年前ノクトが初級一等魔術師試験を合格した時も同じようにエドワードが髪をくしゃくしゃにして頑張ったノクトを褒めてくれたことを思い出す。


 その時と同じように照れ臭い感情を隠してエドワードに同じことを言った。


「いずれジジイと同じ特級魔術師になって、ジジイに俺の実力を認めさせてやる!」


そしてノクトはエドワードの腕を払いエドワードに人差し指を向け言い放つ。


「じゃあ、その日が早く来るのを待ってるよ」


 エドワードは屈託のない笑顔でノクトに言った。


「何やってるの二人共!早くしないとご飯冷めちゃうわよ!」


 アンリエットの透き通った声が響く。


 ノクトとエドワードは井戸の片付けをしてすぐ自宅へ入った。


 自宅のキッチンには古い木製のテーブルと椅子が四人分置かれていて、テーブルの上には焼き立てのパンと香味野菜のスープ、干し肉と葉物野菜のサラダが盛り付けられたボウルが置かれていた。


 そして先に座っていたアンリとシャルの対面にノクトとエドワードが座った。


「それじゃみんなで昼飯にしますか」


 エドワードの一言でノクト、アンリ、シャルはテーブルの上の料理に手を付けた。


 三人が料理に手を付けたことを確認してからエドワードも料理を口にした。


「このスープ美味いな。これアンリとシャルが作ったのか?」


 エドワードがスープを口にして、二人に質問した。


「うん。私が下処理と調理をして最後の味付けはアンリがしたの」


 シャルがエドワードの質問に答える。


「毎日料理が美味くなってるなシャル。最後の味付けも絶妙だアンリ」


 シャルとアンリを褒めるエドワード。


二人はエドワードに褒められ笑みが零れる。


「このサラダは私が盛り付けまで一人で作って、そのパンはシャルが一人で作ったのよ」


 満面の笑みでテーブルの料理を自慢するアンリ。


「まあ、養父さんがもっと魔法薬を売ってもっと稼いでくれればもうちょっといいご飯を作れるんだけどなぁ」


 しかしアンリの瞳は全然笑っていなかった。

 エドワードはアンリから眼を逸らした。


「アンリ。食事中にお金の話をしないの。お養父さんもお金のことは知ってるんだからそこまでにしよ」


 シャルがアンリをなだめるとほっと息を吐くエドワード。


 三人のやり取りを無視して食事を進めるノクトはいち早く食事を終わらせた。

 空いた食器を片付け出した。


「ノクト。今日も魔術の練習?」


 アンリがノクトに尋ねた。


「あぁ、次の上級魔術師試験のために魔術の腕を磨かないとな」


 食器を片付け終わったノクトは家を出た。


お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

初めての次話投稿でワクワクとドキドキでいっぱいです。

今回も読んで頂き誠にありがとうございます

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