第十三話
王都の外へ出たホホとラザフォードは視界に広がる一本道を進み初めての分岐点を右に曲がった。
「ここからヒストリアとザイロンの国境まで早くても歩いて二週間はかかる」
ラザフォードは地図を見ながら現在地ヒストリアとザイロンの距離から到着するのにかかる時間を見積もった。
「それを考えても先生に会えるまで約一ヵ月はかかると思っていた方がいいですね」
ホホはラザフォードから聞いた情報をもとにノクトと再会できるだろう時間を見積もる。
「そうだな。長旅だし、のんびり進んでいく方が体力的にも安全だろう」
ラザフォードはノクトに会うまでにかかると見積もった一ヵ月という長時間に一日やそこらの短期間急いだところで大した時間短縮にならない事は理解している。
それを口にしたのはラザフォードの視界に映るホホが見るからに長旅で進むには不向きな速足気味な歩幅で進んでいるからだ。
ホホはラザフォードの言葉を理解しているのか否か、分からないが、すぐにでもノクトと再会したいという気持ちはすぐに分かった。
「ホホの嬢ちゃんも少しは歩く速度を落とした方がいい。そんなに速足だと旅の途中で怪我をしかねないぞ?」
「ですがラザフォードさん——」
「忘れてないよな?俺達の目的はあくまでノクトに聖剣を届ける事だ。それはノクト自身の安全を確保する事でもある。嬢ちゃんが怪我でもしたら本末転倒だ」
速足気味のホホに歩く速度を落とすように言うラザフォードにホホははやる気持ちを隠し切れない様子だった。それをラザフォードは本来の目的を思い返させてホホが速足でなく普通の速度で歩き始めた。
「まあ、はやる気持ちも分からなくないが、ノクトに確実かつ早く届けたいならペースを考えるべきだ。勉強になっただろう?」
ラザフォードは少し笑みを浮かべながらホホに話すとホホはラザフォードの顔を見ながらラザフォードの話を聞いた。
「はい。早く先生に会いたくて少し気持ちが急いでいたのかもしれないです」
「先生冥利に尽きる言葉だろうな。ノクトが聞いたらさぞ嬉しいだろう」
ホホは苦笑を浮かべて言葉を口にするとラザフォードは網を浮かべたままホホに言葉を返した。
「そう言えばラザフォードさんは約半年の間、何をしていたんですか?」
ホホはノクトが去ってからの約半年の間、何をしていたのかラザフォードに尋ねた。
「俺は国王の新たな近衛騎士隊の育成と王宮騎士達の訓練内容を一から組み直していた」
「そんなに忙しかったんですか⁉」
ラザフォードはさらっと何気なく話したが国王を護衛する近衛騎士隊の育成や王宮騎士の訓練内容の組み直しを同時にするのはかなりの激務だ。
ホホもそれを分かっているので何気なく言葉にしたラザフォードに驚きを隠せなかった。
「忙しかったっていえば忙しかったな。けどそれらは俺の入る余地がないくらいもう落ち着いた」
「それなら良かったんですが」
「嬢ちゃんも王宮の研究所での仕事も忙しかったらしいな?」
「はい。今まで慣れるのにやっとっていう感じです」
互いに仕事の事で話が盛り上がるとホホとラザフォードの視界に映るのは人の住んでいる村だった。
見た限り建物に使われている材質はかなり新しく建てられて間もないように見て取れた。
「嬢ちゃんの故郷が近くなってきたな」
ラザフォードは村を視界に入れるとホホの方を一瞥した。
ホホはどこか懐かしそうに村を見ていた。
「しばらく歩き続けていたし、村で休憩するか?」
「そうですね。休憩していきましょう」
王言うとホホとラザフォードは休憩のためにホホの故郷である村へ向かった。
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