第十二話
「お久しぶりです。ラザフォードさん」
「おう。久しぶりだな。ホホの嬢ちゃん」
王都の門前に到着したホホはこちらに歩み寄る獣人——ラザフォードの姿に気付き挨拶を交わした。
「少し大きくなったんじゃないか?」
ラザフォードは近くまで歩み寄ったホホを見て言った。
「半年前から大して大きくなってませんよ」
ホホの言った通り、この半年でホホの身長は大して大きくなっていない。
一般的な亜人であればホホくらいの年齢では成長期段階で半年という期間でも見違えるほど成長したという事が起きる。
その一般的に分類されなかったホホはラザフォードの言葉に白けた視線を向けた。
「身長の話じゃない。前よりも『堂々としている感じだする』って意味でも大きくなったな」
ノクトとラザフォードと出会ってから、ホホはよくノクトの傍で魔法薬を教わっていた事もあり、ラザフォードにはノクトの傍に着いてきている子どものような印象だった。
今のホホはノクトのすぐ後ろに付いていくような印象よりも一人で前に歩くことができる度胸も身に付けているように見えた。
「それより国王から『例のモノ』を預かった」
そう言うとラザフォードは腰に携えている納剣されている聖剣の内一振りを見せた。ホホが今まで持っていなかった見覚えのある聖剣がホホの視界に映る。
「先生が持っていた聖剣じゃないですか!」
「そうだ。国王から聞いた通りこの聖剣をノクトに届けるために他国のザイロンへ向かう」
ラザフォードは確認のためにシルフィーから聞いた命を繰り返しホホに伝えた。
「そして道中危険が及ばないように俺がホホの護衛をする」
ラザフォードは一通り説明し終わると腰に携えていたノクトの聖剣を鞘ごとホホの前に見せた。
ホホはラザフォードが前に出したノクトの聖剣を手に取ると大事そうに抱きかかえる形でノクトの聖剣を持った。
「気になっていたんですが、何でラザフォードさんだけで先生に聖剣を届けることにならなかったんですか?」
ホホは疑問に思っていた事象についてラザフォードに尋ねた。
別にノクトへ聖剣を届けるだけならラザフォード一人で十分のはずだ。その上ホホが共に旅をして誰かに襲撃を受ければ、真っ先に足手まといになるのはホホだ。
そこまでのリスクを背負ってでもホホを同行させる意味をホホは知りたかった。
「まあ、これくらいは言って大丈夫だろう」
ホホの質問にエア座フォードは息を吐いた後口を開いてホホに事情を説明する。
「国王はノクトをヒストリアに戻して会合を開きたいそうだ。そのために教え子であるホホを一緒に同行させてどうにか懐柔させたいらしい」
身もふたもない事実に説明しているラザフォード自身溜息交じりで説明していた。
「どんな理由でも先生と再会できる機会を設けて下さった国王様には感謝しかありません」
ラザフォードの身もふたもない話を聞いた後でもホホは満面の笑みを浮かべた。
「それなら良かった」
満面の笑みを浮かべたホホの様子を見てラザフォードは安堵した。
自分がホホの立場であればラザフォードは事実を聞いた後で今のホホのように快諾してしたままでいる自信はなかった。
「じゃあ、ザイロンへ向かう旅に出るか」
「そうですね。早く先生に聖剣を届けないと」
互いに出発する意を示したホホとラザフォードは王都の門前から王都の外へ足を進めた。
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