第三話(裏)
悪魔の根城内の一室にシャルと悪魔は集まっていた。
「急に呼んでどうしたの?」
シャルは数分前に意識を共有して呼び出した悪魔達を見た。
「先程外で勇者の動向を監視をしていた舞台からの報告です。勇者の一人がノクト様に聖剣を届けるために動き出しました
悪魔の一人——イプシロンが勇者の動向をシャルに説明した。
「それで呼び出したのね」
イプシロンの説明にシャルは自分が呼び出された理由を理解した。
「私にその勇者を襲撃するために呼び出した、ってことでしょ?イプシロン」
「その通りです」
シャルがイプシロンの意図を口にすると、イプシロンは素直に肯定した。
「今回の勇者は左目に紋章があります。そして今回は勇者一人に亜人の少女一人。これ以上ない襲撃の好機です」
イプシロンは状況を冷静に分析して好機を逃がさないために監視部隊からの報告について一切余念を許さなかった。
そして手にした好機をこちらの切り札あるシャルに伝える事ができた。
「その勇者はどこへ向かっているの?」
シャルはノクトのいる場所まで向かっている勇者がどの地域に向かっているのかイプシロンに尋ねた。
「ヒストリア王国の隣国、ザイロン民主国です」
シャルの質問に答えたイプシロンは何か含みのある笑みを浮かべた。
それに気付いたシャルはすぐにイプシロンの含み笑いの理由を理解した。
「そう。それなら他の手間も意図まとめに解決できるわね」
イプシロンの意図に気付いたシャルも口角を上げて不敵な笑みをこぼした。
するとシャルはイプシロンを含めた悪魔達の集まっている場所へ歩き始めた。
「それで今回は誰が私と行動するの?」
シャルは悪魔達を視界に映して誰が共に行動するのか質問をした。
今までシャルは悪魔達と共にチームをつくり行動した。というより単独行動を許されなかった。
単独行動よりっも集団で行動する方が今までの目的には効率的なのはシャルでも理解していた。だから悪魔達が共に行動していたのも許容していた。
それが染みついたシャルは自分から先に共に行動する悪魔を尋ねるようになった。
「それなら私とプサイが同行しましょう」
言葉を切り出したのはミューだった。プサイは隣に立っているプサイに視線を映した後シャルに視線を合わせた。
「そう」
シャルは視界にミューとプサイを映すとすぐに視線を変えた。
シャルが魔法陣を自身とミュー、プサイの足元に展開した。
「次こそは失敗しないわ。だからサポートをお願い。ミュー、プサイ」
「もちろん。喜んで」
「良いでしょう」
シャルの指示にミューとプサイは素直に返事を返した。
そしてシャル、ミュー、プサイの足元に浮かんだ魔法陣から光が溢れて三人を呑み込むとほどなくして光の柱は三人の姿と共に消えた。