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第十一話

 空が茜色に染まる頃。

 研究所での仕事を終えたホホは更衣室で白衣を脱いで片付得た後、研究所を出た。


 シルフィーの手厚い保護により仕事だけでなく研究所の寮にまで入居させても事ができた。

 ホホは寮に戻り自分の部屋に戻るとその足でベッドのある寝室へ進む。


「……疲れた」


 疲労交じりの声を漏らしたホホはベッドの上に座った。

 ベッドのクッションで体に溜まった疲労ごと体が沈むと体に溜まる疲労が眠気に変わり出していくとホホの部屋をノックする音が聞こえた。

 ホホはノックの音で頭の中に溜まっていった眠気を払い部屋の出入り口の方へ向かい扉を開けた。


「お久しぶりです。ホホ」

「国王様⁉」


 扉を開けたホホの目の前にはノクトがいない現在ホホの保護をしている国王でありノクトと同じ勇者のシルフィーがホホの部屋の前に一人で立っていた。


「なぜ国王様がここに⁉」

「あまり大声で話さないで下さい。今回の件は内密かつ直接お話がしたいのです」


 ホホは国王であるシルフィーが急に一国民の寮の部屋に訪れた事に驚愕すると、シルフィーは自身の口元に人差し指を添えて注に声を大きくしないように注意した。


「部屋の中でお話ししたいのですが大丈夫ですか?」

「もちろん大丈夫です。中へどうぞ」


 シルフィーはホホの部屋の中に入って話ができないか尋ねるとホホはすぐに部屋の扉を大きく開いて中へ案内した。

 ホホはシルフィーの身分に不相応な一人部屋へ案内するとシルフィーはホホが案内したローテーブルの方へ進んだ。


「そこで楽にして下さい。お茶を淹れてきます」

「気を遣わなくて大丈夫です。ホホに伝えておくことがいくつかあるので、それを伝え終われば私は王宮に戻ります」


 ホホは一人部屋に国王がいる光景に違和感を覚えつつ、自身の気を紛らわすためにお茶の用意をしようとすると、シルフィーは単刀直入にホホに話を切り出す。


「ノクトからの伝言です」

「先生から⁉」


 話を切り出したシルフィーの枕詞にホホは食いついた。


「その通りです。ノクトは今、我がヒストリアの隣国であるザイロンに向かっているようです。そしてノクトは悪魔の襲撃の対策として聖剣を手配したいそうなのです」


 シルフィーはノクトのいる場所とノクトからの要求をホホに伝えた。

 ホホはシルフィーの話に少しの期待を抱いた。


「本来なら頼まれた私がノクトが置いてきた聖剣を届けるのが筋なのでしょうが、今の私は国の長ですので他国のザイロンに向かうのにはあまりに手続に時間がかかります。なのでノクトの聖剣を届ける人材を探しています」


 シルフィーはふとホホの目を一瞥した。

 シルフィーに見られたホホは淡い期待が徐々に大きくなっていた。


「ホホ。あなたに国王としてノクトの聖剣を届ける命を下したいのです。引き受けてくれますか?」


 ホホは期待通りの展開に内心喜んだ。


「もちろん悪魔の襲撃を鑑みて護衛も付けます。その護衛には勇者ラザフォードに一任しようと考えてます」


 シルフィーの発言にホホは懐かしい思い出が脳裏に浮かんだ。


「国王様の命であれば喜んで引き受けます!」


 ホホはシルフィーが発言した命について快く引き受けた。


「ありがとうございます。ホホなら引き受けてくれると思ってました。さすがノクトの教え子です」


快く引き受けたホホにシルフィーはお礼を口にした。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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