表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/336

第七話

 ザイロンに足を踏み入れて数日が経過したノクトは新たな都市へ到着した。

 ノクトの視界に広がるのはヒストリアの王都に近い人の多さに王都以上の舗装された道幅の広い街だった。


 貿易国家のザイロンの心臓部と言って良い貿易都市アルカポス。


 荷車が舗装された道のいたるところにあり、証人と思われる人たちが荷車の商品を他の商人達と金銭取引や物々交換をしている。

 街の人間の活気だけならヒストリアの王都よりも上に見える。


 そんなアルカポスに到着したノクトは到着した脚ですぐに街中へ進み一つの店に入店した。


「いらっしゃいませ。ノヴル換金所へようこそ」


 入店したノクトの視界に映ったのは小綺麗な服を着た店主と思われる小太りの男性だった。


 ノクトが入店したのは換金所だった。

 ノクトはザイロンに入国してからザイロンで使われている通貨を持っていなかった。


 そのためノクトはザイロンに来てからどこの町や村にも泊まることなく野宿をしていた。その上食事も草木の傍に育っている食べられる植物などで空腹をしのいでいた。


「ヒストリアの通貨をザイロンの通貨に換えてほしい」


 そう言うとノクトはヒストリアの通貨の金貨を二枚懐から出して店主との間にある机の上に置いた。


「承知しました。少々お待ちください」


 店主はノクトが出したヒス散りあの通貨の金貨二枚を手に取ると机の下の金銭箱にしまい別の金貨を二枚手に取った。


「どうぞ。ザイロンの通貨です。丁度ヒストリアの金貨二枚と同価値の金貨二枚です」


 店主が机にノクトが机に出した金貨と違う形状の金貨を二枚机の上に置くとノクトは眉間にしわを寄せた。


「店主、俺をバカにしてるつもりか?」


 眉間にしわを寄せたノクトはその眼付きのまま店主を睨みつけた。


「何のことでしょう?」


 明らかに不機嫌なノクトに対して店主は仕事の上で必要な笑みを浮かべたまましらばっくれた。


「ヒストリアの金貨一枚の価値はザイロンの金貨一枚と銀貨五枚分のはずだ。手数料で引かれるにしても金貨一枚分は確実に手数料が高すぎだ」


 ノクトはザイロンの通貨の価値を知っていた事に店主は客人への笑顔を歪めた。


「すみません。最近通貨の価値が変動しているもので、手数料を銅貨二枚分を差し引いた価格なのです」


 店主はゆがめた笑顔を取り繕い直して手数料を明言した上でノクトに説明する。


「そこまで明言できるなら他の商人に通貨の価値を聞きまわって良いよな?」


 ノクトの返した言葉に店主はついに笑顔を崩して二重の表情を浮かべた。


「変な評判を流されたくないなら本当の金額を換金してくれ」


 苦渋の表情を浮かべた店主に容赦なくノクトは言葉を突きつけた。

 ノクトの刺すような言葉に店主は再び琴線箱から通貨を取り出して金貨二枚の上に付け足した。


「……どうぞ」


 店主は先程の笑顔などどこ吹く風でしかめっ面のままノクトに換金した硬貨を机の上に置いた。

 店主が机に置いた硬貨をノクトはすぐに懐にしまった。


 ザイロンの硬貨をしまったノクトは踵を返して店から出て行った。

 店を出た直後換金所の中から店主の声と思われる憤慨する声が聞こえた。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ