第五話(表裏)
ノクトの放った槍を躱したシャルは肩を担いだ悪魔から離れた。
「ありがとうございます。シャルロット」
「お礼を言うのは後よ」
お礼を言った悪魔にシャルは悪魔に注した。
その後、シャルは掌から魔法陣を浮かべて一本の黒い槍を顕現した。
「俺とやろうってのか?」
「そのつもりよ」
ノクトは剣を、シャルは槍を構えて互いに戦う意思を示した。
少しの間の沈黙。
そして沈黙を先に破ったのはノクトの方だった。
ノクトは構えている剣を縦に振ると剣の刃が描いた軌跡から赤い槍の雨が降り注ぐ。放たれた槍の雨をシャルは目の前に盾を顕現して防ぐ。
ノクトの攻撃を防いだシャルはすかさずノクトとの距離を詰め寄った。
前に戦った時よりも動きに迷いのないシャルの俊敏さにノクトは一瞬怯んだ。しかしすぐに体勢を立て直して距離を詰めてくるシャルに魔術による攻撃の準備をした。
ノクトは炎の魔術で目の前に攻めよってくるシャルの行く手を阻んだ。
ノクトの魔術による炎の壁をシャルは微動だにせず自身の周囲に魔術による水の壁を張り巡らせた。
そしてシャルはそのままノクトを展開した炎の壁に突っ込んだ。
周囲に張った椅子の壁は蒸発はする者のシャルに炎の浸食を完全に防ぎ切った。
ノクトの展開した炎の壁を突っ切ったシャルは構えている槍による乱れ突きをノクトに仕掛けた。
ノクトはシャルの乱れ突きを剣よって捌くが剣と槍のリーチの差でシャルに反撃ができない。
シャルの槍の乱れ突きに防戦一方になるノクトはシャルの一つ一つが鋭い乱れ突きを捌きつつ魔術による次の攻撃の狙った。
ノクトは剣でシャルの乱れ突きを受け流しつつ、シャルの足元に魔法陣を展開した。
シャルは自身の足元に浮かび上がった魔法陣を見るとすぐにノクトへの突きをやめて牛をへ下がった。
ノクトはその行動を待っていた。
ノクトはシャルの足元に浮かんだ魔法陣を消してシャルが下がった足元に魔法陣をすぐに展開した。
後方に下がったシャルの足元に浮かぶ魔法陣から土が命を吹き込まれたようにシャルの手脚を掴んだ。
「っ⁉」
ノクトに捕まえられたシャルは眉間にしわを寄せてノクトを睨む。
「これで動けないだろ。シャル?」
そういうとノクトは構えている剣の切っ先をシャルの首筋に向けた。
今の状況は確実にノクトが優勢、シャルが動けない今首筋に切っ先を向けられているシャルが劣勢なのは誰の目からも歴然だ。
それなのに首筋に切っ先を向けられているシャルは眉間にしわを寄せていた顔が不敵な笑みに変わった。
「あなたも少しは周囲を確認した方がいいわよ。ノクト?」
シャルがそう言った直後、ノクトの周りには黒の外套を羽織った者達が現れた。
ノクトは急に姿を現した黒の外套の者達がすぐに光の剣を顕現してノクトの首元に切っ先を向けた。
「ッ⁉」
急に姿を現して首元に向けた光の剣の切っ先にノクトは驚愕しかできなかった。
「私の攻撃はあくまで陽動。本当の目的はこれよ」
シャルは持っている槍に魔力を流すと、黒い槍から淡く輝く光の粒子が放たれてシャルの手足を縛る土にまとわりついて土が地面に崩れ落ちた。
再び体が自由になったシャルは悪魔に囲まれて剣を向けられて身動きが取れない状態にあるノクトの方へ歩み寄った。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございいます。
これからも投稿していくので良ければ次話も読んで下さい。