第四話(表裏)
「流石に魔術だと消え去らないか」
ノクトは這いつくばりながらも渾身の雷撃で消え去らなかった悪魔に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「幸か不幸か……私達は勇者の聖剣でしか滅びることがありません」
ノクトの渾身の雷撃を受けて体中に鈍い痛みが奔りながらも立ち上がった悪魔は皮肉そうな笑みを浮かべた。
「それに、先程の一撃でノクト様も少なからず反動を受けているようですね?」
悪魔の見抜くようね視線にノクトは苛立ちを覚えながら事実を突かれた事に眉間にしわが寄る。
自身を巻き込んでの雷撃で生じた衝撃波を受けたノクトも体中に痛みが奔っていた。
「まともに動けない貴様に言われたくないな。先の雷撃で立っているのがやっとなくせに」
ノクトも目の前の悪魔の状態を見抜いていた。
ノクトの雷撃を受けた悪魔は消え去らなかったもののノクトの渾身の魔術に体中がボロボロだ。
その傷と鈍い痛みが原因で悪魔は立っているのもやっとだ。
「それだけ弱っていればこいつで消し飛ばせる」
ノクトは腰に携えている鞘から赤い剣を抜いた。
赤い剣を構えたノクトは正眼に構えると赤い剣から聖なる気が溢れ出した。
今のところ赤い剣は大人しくノクトのいう事を聞いているようでノクトに牙を剥く力を発していなかった。
ノクトは今のうちに目の前の悪魔を滅ぼそうとした直後、目の前の悪魔の傍に転移魔術の魔法陣が浮かんだ。転移魔術が浮かび上がると魔法陣の上に光の粒子が収束して人型の姿に変わっていく、
収束した光の粒子は黒い外套を羽織った人に変わった。
浮かんだ魔法陣の上には幼い頃に見慣れていた人物がそこに立っていた。
「久しぶりね。ノクト」
金色の髪に青い瞳、前に出会った時よりも成長して更に美貌に磨きがかかっていた。
黒のワンピースに黒の外套を羽織った少女は剣を構えたノクトを見た。
「あぁ。久しぶりだな。シャル」
一年以上会わないうちにより美しくなったシャルにノクトは更に眉間にしわを寄せて睨みつけた。
久しぶりに会ったシャルに一言挨拶を交わしたノクトは構えた赤い剣を振った。
ノクトが降った剣の軌跡から赤い槍が放たれてシャルと悪魔に向かって飛んでいった。
シャルは傍にいる悪魔の肩を担ぎノクトが放った赤い槍を躱した。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。