第四十六話(裏)
レイラに触れた背中から術式が鎖のようにつながってレイラの体を覆った。
体中に覆われた術式にレイラはミグ沖が取れなくなった。
拘束用の封印術だ。
封印術にかかったレイラがが体中の感覚が戻ってきたころには今度は封印術の精で身動きが取れなくなった。
「口だけは動かせるようにしてます。私が《写し鏡》をレイラさんの体から抜き出すまでの間今までの状況を教えて下さい」
シャルは地面にうつ伏せで倒れたままのレイラに手を前に出した状態で話しかけた。
「前の依り代の方から《写し鏡》の依り代になる前の聖典の内容を尋ねたわ」
「それでどうでしたか?」
シャルは口だけ封印術で縛っていないレイラの言葉を聞いている時に頭の中で一つの想定をしていた。
「忘れたそうよ。忘れたというより聖典の内容だけ記憶から抜かれたように記憶がないって話してらしたわ」
シャルの想定した通りの言葉がレイラの口から飛び出した。
レイラの知りたかった事の答え、聖典の昔と今の違いを《写し鏡》の依り代だったミラーから聞けなかった事にシャルは内心納得した。
聖典委はこれから起こるであろう予見が書かれている。もし聖典に関する記憶があるのであれば内容に不備や虚偽があったとしてもここで幽閉された状態になる事に不審に感じないまま過ごしていたミラーには出会った時から違和感を感じていた。
どうやらここに幽閉される前に何者かによって聖典に関する記憶を引き抜かれていたようだ。
「その後に何があったのですか?」
シャルはレイラが知りたかった事は知れないまま、その後にどうしたのか尋ねた。
「今お依り代の方から《写し鏡》を託されたわ。その時に前の依り代の方から当時の世界の様子を聞いたわ」
「聞いてみてどうでしたか?」
レイラに向けて問いかけた後、シャルは次に返ってくるであろう想定も頭の中に描いた。
「聞いた限り、魔術や神聖術の技術の違いはあったけど暮らし自体の違いはソコマデ違いはなかったわ。でも記憶に不審なところがあった時点で依り代の方の話も宛になっているのかすら分からないけどね」
レイラから放される当時の暮らしを聞いたシャルは悪魔から聞いた話と同じで、内心何も驚きを感じなかった。
「その後私から《写し鏡》の依り代になれないか無理言って頼んだわ」
「それが原因で今の状態になったのですね」
レイラから部屋に呼び出して前の《写し鏡》の依り代のミラーからの話を聞いた一部始終を聞いた。
「その通りよ。《写し鏡》の依り代になってから体の自由が奪われて自分の体が嘘みたいに思い通りに動かせなくなったわ」
レイラから一部始終を聞いたシャルはレイラの前に出した手から光が差し込んだ。
「あともう少しです。少しだけ我慢して下さい」
シャルはレイラに断りを告げると手から差し込む光が強くなっていった。
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